DebtNet通信 (vol.5 #39)  
「ニカラグアとガーナがIMFと交渉」
2006年12月23日

1.ニカラグアのオルテガ新大統領がIMFと交渉

 オルテガ新大統領は、新任早々IMFの代表Anoop Singh氏と今後の関係について会談した。オルテガは、新政権が貧困と失業と闘っていく決意であることを伝えると、Singh代表も、IMFが決してこれまでのようなプログラムを押し付けないと約束した。
 しかし、実際にオルテガ大統領が、IMFの指導部に構造調整プログラムの緩和を呼びかけると、答えは違っていた。
IMFは正式に、オルテガ大統領が計画している年金改革(第539条年金法案)を「非持続可能」だとして、これを廃止すること、ならびにエネルギー部門の規制緩和を要請したのであった。
 さらに、IMFは、プレスレリーズで、ニカラグアの公務員の賃上げと補助金を止めるように要請した。これは、ニカラグアが緊急に必要としている教育と医療部門の公務員の給料を支払うことが出来なくなる。現在、ニカラグアの中学校の予算はGNPの5%に過ぎない。一方ボリビアは13%支払っている。
 ニカラグアの市民社会はこのようなIMFの条件に怒っている。ニカラグア市民社会プラットフォーム「Coordinadora Civil」のエコノミストであるAdolfo Acevedoは「IMFはニカラグアの未来を脅かしている」と述べた。
 EUもまた、ODAを供与する際、ニカラグアがIMFの条件を受け入れることを条件にしている。その中には、デンマーク、スエーデン、スイス、ノルウエイ、オランダといった解明的な国まで含まれている。このことはIMFがますます、ODAの門番の役割をはたしていることを示している。

2.ガーナがIMFのPRGFから脱退

 2003年、ガーナの鶏肉の輸入関税を20%から40%に引き上げるという決定をIMFが撤回させた。これは、IMFの2003年の貧困削減成長基金(PRGF)のプログラムに基づくものであった。
 なぜガーナは、鶏肉の輸入関税を引き上げようとしたのだろうか?それはEUから多額の輸出補助金を受けた安い冷凍鶏肉がガーナの鶏肉市場を制覇したことの対抗措置であった。その結果、1992には、ガーナ産鶏肉の国内市場でのシェアは95%であったものが、10年後にはわずか10%に減ってしまった。
 12月、ガーナのKwadwo Baah-Wiredu金融・経済計画相はガーナがIMFのPRGFから脱退することを宣言した。PRGFは貧困国に安い金利で融資をする制度であるが、同時に厳しい条件が付いている。PRGFから脱退することによって、がーなはIMFから独立することになる。