DebtNet通信 (vol.5 #38)  
「IMF・世銀のコンディショナリティに対する攻撃」
2006年12月12日

 9月にシンガポールで開催されたIMF・世銀の年次総会前後からIMF・世銀のコンディショナリティ(構造調整プログラムとその後の貧困削減戦略ペーパーなど)に対するNGOと幾らかの政府の攻撃が高まった。

 とくに、第14次IDAの中間評価の時期(11月に提出)にある世銀は、その攻撃を真っ向から受けた。なぜなら、IDA(国際開発公社)は貧困国に対して、無利子の長期融資を行う第2の世銀の窓であり、これは先進国から資金を拠出してもらい、それを融資の財源としているからである。

 まず英国のヒラリー・ベン開発相が、Christian Aid、Action Aid、World Development Movementなど国際開発NGOの圧力により、シンガポール総会の直前に『ファイナンシャルタイムズ』紙に、「世銀が途上国政府に対して、融資をテコにコンディショナリティを押し付けているかぎり、IDAに対する5,000万ポンドの拠出金を出さない」と発言した。

 この拠出金は、IMF・世銀の07年春の総会まで保留される。そして、ウォルフォビッツ総裁が、それまでに腐敗問題に取り組むと約束させられた。世銀のスタッフたちは、ネオコン1派の総裁が、英労働党左派(ベン開発相)の攻撃のターゲットになりやすいことを嘆いている、という。

 ベン開発相に続いて、ヨーロッパの大臣たちも、世銀に対して、ウォルフォビッツ世銀総裁の反腐敗戦略の内容について明らかにしろ、と一致して要求した。

 11月28〜29日、ノルウエイ政府は、IMF・世銀など国際金融機関と先進国のODAのコンディショナリティに関する国際会議を開催した。これに参加したのは、スエーデン、デンマーク、フィンランド、英国、カナダ、ドイツ、オランダなどの開発省の官僚たち、IMF、世銀の代表、それに市民社会から30人であった。

会議の議題は、

(1)国際金融機関の現在のコンディショナリティにかんする実施状況
(2)あるべきコンディショナリティ―どのように策定され、モニターされ、実施されるべきか
(3)自由化と民営化についてのコンディショナリティについて

などであった。

 会議に提出されたケーススタディはバングラデシュのエネルギー部門の民営化、モンザンビークの世銀によるエネルギー部門の民営化、ザンビアのIMFによる商業銀行の民営化、ウガンダ貧困削減戦略ペーパーによる水の民営化についてであった。
 ノルウエイ政府は、「Soria Moria 宣言」でもって、IMFや世銀の融資、あるいは先進国のODAに付随していた「コンディショナリティ」の廃止を呼びかけた。これにもとづいて、国際会議は、とくに、貿易、投資、金融の自由化と国営企業と公共サービスの民営化を強制するやり方を変えるべきだといっている。これは援助の額よりも重要な議題であるとしている。