DebtNet通信 (vol.5 #30)  
「ノルウエイが不当な債務の帳消しを決定」
2006年9月12日

 ノルウエイのJubileeキャンペーン(SLUG)のKjetil Abilsdnes代表は、ノルウエイ政府が、来る10月6日に不当な(Illegitimate)債務を帳消しにすると発表した、ことを伝えている。
 これはすでに、今年5月、ノルウエイのErik Solheim開発相が、HIPCs以外の途上国のIllegitimateな債権を放棄すると発表したことに始まる。1077〜1980年の間、ノルウエイ政府はノルウエイの最大の輸出品目である船舶産業の危機を救うために、「船舶輸出信用キャンペーン」なるものを行なった。これは、途上国にたいする船舶輸出に政府が財政からクレジットを発行するもので、とどのつまりは、途上国政府の債務となる。
 Solheim 開発相は今年の予算にこのクレジットの帳消しのための予算を請求した。それが決まるのが、10月6日ということになっている。
 この船舶輸出信用キャンペーンによって発生した債務総額は6億5,160万ドルにのぼる。その中で、すでにHIPCsの分1億9,090万ドルは帳消しになっている。残りの4億6,090万ドル分はミャンマー、スーダン、エクアドル、エジプト、シエラレオネ、ペルー、ジャマイカの7カ国の分が、不当な債務として、今回の対象になる。

SLUGは、

− スーダンやミャンマーなどの国を含めて、すべての債務を帳消しにする決定を行なうこと。そのための資金のメドは将来になっても、「決定」を行なうこと。
− 援助金を債務帳消しに充当しないという原則を守ること。帳消しの責任は、通商省にある。
− ノルウエイ政府はこれが不当な債務であることを認め、謝罪すること。
などの3点を政府に要求している。

 EURODADによれば、9月のIMF・世銀の年次総会では、IMFは、HIPCsイニシアティブによる債務帳消しの対象国の数を最終的に決定することになるという。
 すでに、2005年中に債務帳消しを受けた国は18カ国であった。
今年中に、「条件」を満たすことが出来ない場合、スーダン、リベリア、ソマリア、エリトリア、コモロ諸島はHIPCsの対象国リストから除外される。
 一方、中央アフリカ、象牙海岸、ハイチ、キルギスタン、ネパール、トーゴは、安全ゾーンに入っている国、すなわち、「条件」を満たせば帳消しをうけることが出来る。
 HIPCsの中で、自ら、帳消しを辞退している国はスリランカ、ブータン、ラオスの3カ国である。
 またミャンマー、アフガニスタンの2カ国はHIPCsイニシアティブの適用をうけることが出来ると思われるが、データ不足のため、帳消しを受けることが出来ない。
 IMFの理事国の中には、HIPCsイニシアティブを存続させ、対象国を増やしていくことに賛成の国もあるようだが、いずれにせよ、2006年中には、何の動きもないだろう。