DebtNet通信 (vol.5 #26)  
「メキシコは世銀と米州開銀に70億ドルを前倒しで返済」
2006年7月30日


 メキシコが1次産品の値上がりによって、保有外貨が豊富になったため、世銀と米州開発銀行に対して70億ドルの債務を前倒しして返済した。
 この動きはロシア、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラに続く動きである。最近、石油、砂糖、大豆などの一時産品が値上がりしており、途上国の中の、資源輸出国の外貨が増大している。メキシコの保有外貨は最大の輸出品である石油価格の値上がりによって、過去5年間に倍増し、770億ドルに達した。このドル建ての外貨を保有するには、コストがかかる。
 債務を前倒しして返済することは、「外貨のよりよい使途である。なぜならそれによって、国際資本市場でのショックの予防に役立つ」と財務相は語った。
 返済のための資金は、中央銀行の準備外貨資金からドルを買わねばならない。そのために政府はペソ建ての変動国債を国内市場で売る。これはメキシコ国債の利率の方が、外債より有利なためである。
 メキシコの世銀と米州開発銀行の債務総額は134億ドルにのぼる。今回の返済によって、債務は半減する。その結果、メキシコの債務はGDPの7.3%であったものから6.4%に減った。

 メキシコの対外債務は、1994年12月のペソ危機によって、GDPの32%に増大した。以後、政府は対外債務を国債に転換することによって、減らしてきた。これはペソの値下げに対する予防策であった。
 その結果、メキシコの国債はGDPの15.1%であったものが、16%に増大した。1995年のペソ危機の時には、GDPの6.1%であった。メキシコは対外債務を国家予算から支払い、その資金を国内で国債発行という形で調達する。このプロセスを過去10年間繰り返してきた。