DebtNet通信 (vol.5 #22)  
「カメルーンが完了点を達成」
2006年5月8日

1)カメルーンの債務帳消しの可能性

 5月はじめ、カメルーンはHIPCsイニシアティブの下での「完了点」に達した。これで、IMF、世銀、アフリカ開発銀行の多国間債務救済イニシアティブ(MDRI)による債務帳消しを受ける国の数は19カ国となった。
 世銀とIMFによれば、カメルーンの1999年までの債務帳消し額は12億6,700万ドル、さらに今回のMDRIによる債務帳消し額は11億3,000万ドル、合計23億9,700万ドルに上る。
 カメルーンがHIPCsイニシアティブの下で、決定点に達したのは2000年のことであった。そして、2004年4月には、完了点に達するとされていた。それが、今日までに延びたのは、カメルーン政府がIMFのPRGFプログラムを遂行することができなかったためである。それはPRGFプログラムに付随したガバナンス、財政緊縮、民営化などの政策があまりにも厳しく、国内での反発を生んだためであった。
 IMFは、2004年にカメルーンがPRGFプログラムを遂行していないという判断をくだした。それは、当初見込んでいた石油収入が少なく、財政赤字を出してしまったことによる。そして石油以外の収入も予想を下回った。またIMFは2005年のインフレ上昇率を2%と見込んでいた。これはほとんど達成不可能な数字であった。結果は1.6%にとどまったのだが。そのため金利を高くしなければならなくなった。
 またIMFは水道や電気などの公共部門、銀行、保健、港湾、法廷、各種の規制、航空、電信電話などの産業や部門の民営化を要求した。また、IMFは公共事業の管理、発注、公共サービス、法制度改革など8部門でのガバナンスを要求した。これらはすべて、2005〜2008年のPRGFプログラムにも含まれている。

2)カメルーン・チャド石油パイプライン計画

 6ヵ月前、世銀は、カメルーン・チャド石油建設プロジェクトに対する1億2,400万ドルの融資を停止し、世銀に預託してあった1億ドルの石油収入を凍結した。それはチャド政府が石油収入の一部を貧困根絶費ではなく、軍事費に回すことに抗議したためであった。
 しかし、世銀は米国政府の圧力により、石油収入の30%(これまでは10%であった)をチャド政府が必要とするところに支出してよいということを認め、再び融資を開始したのであった。