DebtNet通信 (vol.5 #16)  
「世銀がHIPCsの債務帳消しに合意」
2006年3月30日

 3月28日、世銀理事会は、ついに、「多国間債務救済イニシアティブ(2005年グレンイーグルスG8サミットの合意)」に基づいて、HIPCs17カ国の多国間債務を100%帳消しにすることに合意した。
 これで17カ国の債務帳消し総額は370億ドルとなる。これで貧しい国は年間10億ドルの債務返済の重圧から逃れることが出来る。
 これは昨年以来の米国ジュビリーや英国の「Make Poverty History」の世銀に対するアドボカシィ・キャンペーンの成果である、と英国ジュビリー債務キャンペーンは報じている。
 しかし、債務帳消しの対象が17カ国に限定されることについては、NGOが強く反対してきたところである。
 HIPCs42カ国の中で、IMF・世銀が規定した「完了点」に達したのは18カ国であった。世銀はこの中からなぜかモーリタニアを除外した。したがって、帳消しを受ける国はベニン、ボリビア、ブルキナファソ、ガーナ、ガイアナ、ホンデュラス、マダガスカル、マリ、モザンビーク、ニカラグア、ニジェール、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダ、ザンビアである。
 今回、世銀の帳消しの対象になる債務は2003年末以前に発生したものである。一方、IMFとアフリカ開発銀行の場合は、対象となる債務は2004年末までに発生した分であった。世銀は、対象となる債務の期間をIMFに比べて1年繰り上げたことによって、約50億ドルの帳消し資金を節約したことになる。
 ザンビアは丁度、予算編成の時期にあるが、帳消しで浮いた資金を医療と教育費に充当することが出来る。たとえば学校の教師を4,500人増やし、校舎を修繕し、新規に建てることも出来るし、HIV/AIDSプログラムの資金をことが出来るし。ヘルスワーカーを増員できる。
 17カ国に続いて、帳消しの可能性のある国は、モーリタニアに続いて、すでに「決定点(HIPCsイニシアティブの条件を満たしている国)」に達している国は、ブルンディ、カメルーン、チャド、民主コンゴ、コンゴ、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、マラウイ、サントーメメプリンシペ、シエラレオネの11カ国である。
 さらにHIPCs入りをする国として、中央アフリカ、象牙海岸、ハイチ、キルギス、ラオス、ネパール、トーゴの7カ国である。
 コモロ諸島、エリトリア、リベリア、ソマリア、スーダンなどは重債務と見なされているが、HIPCsにはリストアップされない。以前、HIPCsに入っていたケニア、エクアドル、ジャマイカは貧しくも、重債務でもないとされている。