DebtNet通信 (vol.5 #14)  
「フランスで航空券税会議開催」
2006年3月28日

 2006年2月28日〜3月1日、パリで「革新的な開発資金源」についての閣僚会議がシラク大統領の主催のもとに開催された。参加国は93カ国にのぼった。
これは、2015年までにミレニアム開発ゴール(MDG)、すなわち貧困と闘うために国際社会の支援を集めようとするものであり、2002年4月、国連がメキシコのモンテレイで開催した国連開発資金サミットで合意している。
 この会議はフランス政府が呼びかけて、数ある革新的な開発資金の中の最初の国際課税となる「航空券税」が導入されることになった。
 フランス、ブラジル、チリ、コンゴ、キプロス、象牙海岸、ヨルダン、ルクセンブルグ、マダガスカル、モーリシャス、ニカラグア、ノルウエイの12カ国が今年7月に航空券税の導入することに合意した。そして、それによる税収を「国際航空券連帯貢献(Internatioal Air-Ticket Solidarity Contribution)」として貧困削減に使うことにも合意した。
 フランス政府は、これによって、2億ユーロの税収がもたらされることになる、と予想している。そして、これを既存のODAに追加するものであるべきだと主張した。
 これは額をしては、あまり多くにかも知れない。しかし、「新しい、追加の、革新的な開発資金イニシアティブ」にとって、最初の一歩であることは間違いのないところである。
 シラク大統領は、開会式の挨拶で、「グローバルには富が増加しているにもかかわらず、人類の3分の1は1日1ユーロ以下の生活を強いられている。グローバリゼーションは、格差を解消するどころか、逆により大きく広げている」とし、「フランスは2006年7月1日より、航空券連帯税をかけ、年間2億ユーロを得て、これを途上国に蔓延しているHIV/AIDS、結核、マラリアなどの疫病と闘う国際医薬品購入基金(International Drug Purchase Facility)に充当することを提案する」と語った。
 英国政府が12カ国の公約グループに入らなかったことはかなり目立った。英国はすでに「航空客税(Air Passenger Duty)」を課税している。しかし、両政府ともそれぞれの提案を支持しあう気はないようだ。英国もフランスも、パリ会議では、それぞれ声明をだしている。
 それらによると、フランスは、英国の提案するIFFlm(The Pilot Financing Facility for Immunisation)」にはATL資金からではなく、通常のODAから出すとしている。しかもこれはすでに公約している案件である。 
かわりに英国は、フランスの提案するInternational Drug Purchase Facility を支持してはいるが、いくら、そしていつから拠出するかについて明らかにしていない。
 会議の2日目、航空券税以外の革新的な開発資金について、4つのセミナーが開催され、多くの人が参加した。その中には、英国が提案するIFF(International Finance Facility)やフランスが提案するIFFlm、金融取引税と脱税抑制、ヒューマニタリアンくじ、移民労働者の海外からの送金手数料の引き下げなどの項目が含まれていた。
 次回のForumon Innovative Financing for Development Sources会議は2007年に開催されることが決まった。