DebtNet通信 (vol.4 #26)  
PSI−IMFの新しい貧困国支配の道具
2005年11月19日

  前号のナイジェリアの債務帳消しのケースで問題となった「政策支援文書(Policy Support Instrument)」は、実は2005年9月、ワシントンで開催されたIMF・世銀合同年次総会で採択された。
  PSIはこれまでIMFの融資を受けることすら出来なかった貧困国、つまり融資に付随した「構造調整プログラム(SAP)」や、その最新版である「貧困削減戦略ペーパー(PRSP)」が導入されていない国に対して、新たな支配の道具として今回、新たに創設されたのであった。
  IMFは新しく「低所得国(LIC)」という規定を設け、これらの国が、IMFの融資を必要としていないか、受けたくないが、IMFの保証を得て、他のドナーからの援助や債務救済にアクセスしたい場合に導入されるときの道具がPSIである。したがって、これはIMFが救済融資を行う場合の「条件(SAP)」と同様である。IMFは、PRSPと同じようにマクロ経済政策をPSIでもってモニターするのである。PSIには実施期限が設けられており、もし貧困国がPSIに違反した場合、PSIは停止される。ここでドナーたちは援助を停止するかどうかを決める。
  PSIが導入される国は、マクロ経済の安定化を達成した貧困国で、IMFの長期融資を受けたくないか、受ける必要がない国である。
  PSIはもう1つの新しい支配の道具である「新衝撃基金(A New Shocks Facility)」とパケージで導入される。IMFは貧困国が外界からショックを受けた場合にこれでもってほとんど無利子の緊急融資を供与する。これをインセンティブとして、IMFは、貧困国にPSIの導入を図っている。 
  これまでのところ、PSIが導入されたのは、ナイジェリアとウガンダの2カ国であう。