DebtNet通信 (vol.4 #20)  
G8サミットの日米のODA倍増の真実
2005年7月12日

グレンイーグルスでのG8サミットにおいて、首脳たちはODA倍増、とくにアフリカに対するODAの倍増に合意した。

1) 米国の援助倍増の公約は、そのうち純粋に増える額は7%だけ
 7月8日、「グローバル・エイズ同盟(GAA)」は、グレンイーグルス・サミットで、G8がアフリカ援助を倍増させると約束したことについて、声明を出した。
 「ブッシュ大統領がサミットにおいて公約した内容を仔細に検討すると、彼は、2004年〜2010年間に約束した86億ドルの中で、新規に支出されるのは6億ドル、7%にしか過ぎないことが判明する。なぜなら、いわゆる倍増のほとんどの部分は、いずれにせよブッシュ政権のミレニアム・チャレンジ基金から出されることになっていたのだ。しかし、この基金の執行はのろのろしていて、しかもブッシュが約束した額の大半を議会がいつも否決するというありさまだ。また2008年後、ブッシュのエイズ・プログラム(PEPGAR)への支出がどのようになるのか不明であるところが気がかりである」と述べた。

2)「日本は債権放棄が中心」
 7月10日の朝日新聞は、日本がG8サミットにおいて今後5年間でODAを増額することを公約したことについて、「その中身はイラク向けの債務放棄などが中心になる見込みで無償援助を積極的に増やす欧米諸国に比べて見劣りする」と報じた。
 2004年の日本のODAの内容と額は
(1) 無償援助(国際機関への出資・拠出、無償資金援助、技術援助)
88億6,000万ドル
(2) 円借款(主として円借款の回収金に等しい)
50億4,000万ドル
(3) 債権放棄分(イラク債権放棄、及び津波被害国の利子返済猶予分)
22億5,000万ドル
これを単純合計すると、161億5,000万ドルになるが、国際的な統計水準では、円借款は回収した額を差し引かねばならないので、ゼロになる。また債権放棄はODA拠出に換算されない。したがって、2004年の日本のODAは88億6,000万ドルである。G8サミットの公約を執行するとしたら、日本は今後5年間で100億ドル(年間20億ドル)の無償援助を上乗せしなければならない。しかし、欧米なみの無償援助を増やすことはできないとして、イラクの債権放棄や津波被害国の債務返済猶予などをもって代えるつもりだという。