DebtNet通信 (vol.4 #2)  
被災国の債務を猶予ではなく帳消しに
2005年1月6日


 5日朝、米国のジュビリーから、6日からはじまるインドネシアのジャカルタで開かれる「津波災害救済についての関係国の首脳会議に対して、債務帳消し」を呼びかけがあった。
 これは、インドネシアのINFIDなどからの債務帳消しの要求に応えたものであった。
 ジャカルタ・サミットでは、英国、ドイツ政府などが提案した「債務モラトリアム」が採択される見通しである。しかし、この提案は、パリ・クラブ、つまり先進国の2国間の債務問題に限られている。
 そこで、米国のジュビリーは、英国・ドイツ提案を超えたもの、つまり、IMF、世銀、アジア開銀など多国間債務を含め、さらに単なるモラトリアム(返済の一時的停止)ではなく、帳消しをすることを要求している。
 「これらの国は、人類史上、最悪と言われる災害に襲われただけでなく、その債務の多くは、不法で、汚い、非正統的なものであるから」と言っている。
 インドネシアのINFIDの事務局長であるBinny Bichoriは「債務のモラトリアムは、一定の期間債務返済を猶予されるが、将来には返済しなければならない。これは単に、次の世代に債務の重荷を引き継がせるだけのことだ。債務問題の解決は緊急の問題である。これを一日のばすことは、アチェやスマトラ北部ではより多くの生命が奪われることだ。今週末までに、ジャカルタ・サミットでは合意すべきである」と述べた。

被災国の債務総額

国名
多国間債務
2国間債務
インドネシア
289億4,871万ドル
324億4,382万ドル
インド
292億2,646万ドル
171億4,729万ドル
スリランカ
43億6,018万ドル
40億9,531万ドル
タイ
27億4,301万ドル 86億6,008万ドル
マレーシア
10億6,521万ドル 25億3,535万ドル
ミャンマー
10億8,747万ドル
35億3,450万ドル
ソマリア
6億9,650万ドル    
5億1,606万ドル
モルジブ
1億  619万ドル
662万ドル
フィリピン       
79億2,494万ドル  
122億8,365万ドル
合計         
761億5,867万ドル  
812億2,268万ドル
(OECD、IMF・世銀の統計より)

P.S.
フィリピンのFDCのLidy Nacpilは「フィリピンは今回の津波の災害は免れたが、昨年11月から12月にかけて、スーパー台風に見舞われ、1,000人以上の死者と10,000ヘクタールの農地が被害を受けた」と述べ、債務帳消しを要求している。

G7蔵相会議は2005年2月4〜5日、ロンドンで開催される。