DebtNet通信 (vol.4 #18)  
ナイジェリアの債務
2005年6月29日

ナイジェリアは、1995年9月、IMF・世銀総会において、第1次HIPCイニシアティブが発足したときには、42カ国のHIPCsの対象国になっていた。その後、ナイジェリアの歴史上はじめて民主的な選挙で選出されたオバサンジョ大統領の発言がドナーたちの気にいらないということで、1999年の拡大HIPCイニシアティブでは対象国から外されてしまった。
 しかしナイジェリアは重債務貧困国である。しかもアフリカの4人に1人がナイジェリア人である。
 ナイジェリアの債務は、1985年190億ドルであった。このうち80億ドルがパリ・クラブの2国間債務であった。サウジアラビアなどパリ・クラブ以外の国は20億ドル、80億ドルが民間債務、10億ドルが世銀、アフリカ開銀などの多国間債務であった。
 これが2004年末には対外債務総額は360億ドルと膨れ上がっていた。そのなかでパリ・クラブの債務は310億ドルであった。多国間債務は30臆ドル、民間名債務は20億ドルであった。
 なぜナイジェリアのパリ・クラブの債務だけが過去20年間に230億ドルも膨らんだのだろうか?それはパリ・クラブ側がナイジェリアの軍事政権を嫌って、新しい融資を停止したからであった。つまり、増えた230億ドルは、利子が元金に加算されるという複利制度にせいである。
 一方民間債務は1992年にBrady Bond Exchangeを行い、元金の60%を帳消しにした。以後、ナイジェリアは民間銀行からの借入がなかったにもかかわらず、債務の返済をきちんと行ってきた。また多国間債務についても返済を行ってきた。また、非パリ・クラブの国の債務もほとんど返済を終えた。
 パリ・クラブの債務については、1992年以来返済した額は80億ドルに上る。しかし、1992年の時点での債務総額よりも140億ドルも増えてしまった。
 G8サミットの直前の6月29日、ナイジェリア債務についてパリ・クラブの会議が開催される。そのメンバーは英国、フランス、日本、ドイツなど17カ国である。彼らは、これまで、中所得国の債務の救済はない、Buybacksもないとしてきたが、今回はナイジェリアについて、特別措置を講じるべきである。
 それはナイジェリアの2国間債務の80%を2〜3年の間に帳消しにする。残りの60億ドルの半分をBuybacksする。そのことによって、ナイジェリアの債務は30億ドルになり。その中で、パリ・クラブ、多国間、民間の債務が均等になる。
 ナイジェリアもNGOも全額帳消しを要求している。しかし、上記のような控えめの提案が、G7間で議論され、合意に達する可能性は大きい。