DebtNet通信 (vol.4 #17)  
ルアンダ、ザンビア、ホンデュラスが完了点に
2005年6月29日

 さる5月、ルアンダ、ザンビア、ホンデュラス3カ国が、それぞれパリ・クラブのメンバーと債務帳消しについての会合をパリで持った。3カ国はHIPCsイニシアティブの完了点に達していた。ということは、100%債務帳消しを受けることができるのだが、結果は、長期間の債務の持続可能性を保証されなかったばかりか、新しく債務が増加する可能性すら出ている。とくにHIV/AIDSが蔓延しているルアンダ、ザンビアではそのネガティブな社会的影響は計り知れないものがある。またこの3カ国ともにMDGsの達成は不可能とされる。

1. ルアンダのケース

 5月10日、パリでルアンダはオーストリア、ベルギー、英国、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、イタリア、オランダ、米国などのパリ・クラブ加盟国が会議を開いた。パリ・クラブ側はルアンダの82,70万ドルの債務の帳消しに合意した。さらに、クラブのメンバー国のなかでは770万ドルの追加の帳消しにも同意した。
 ルアンダのDonald Kaberuka財務相は、これでルアンダの15億6,00万ドルの債務のほぼ大半が帳消しになったと記者会見でのべた。しかし、世銀のデータによると、帳消し後も、ルアンダは2006年には860万ドル、2007年には1、020万ドルの債務返済をしなければならない。
 ルアンダ現地で活動をしているアイルランドのNGO「Trocaire」によれば、「ルアンダ政府は債務帳消しで浮いた資金を医療、教育、インフラ建設に充当することを公約しているが、しかし、ルアンダは貧困根絶、MDGsの達成にはとても足りない」と語った。
 ルアンダは農業人口が90%と、経済は農業に依存している。1994年の虐殺事件で人的資源が圧倒的に足りない。人口の60%が1日1ドル以下の貧困にあり、平均寿命は39歳である。UNDPの人間開発指標では、国連加盟国177か国中、159位である。
 ルアンダの国家財政の65%、開発予算の90%を先進国からのODAや世銀の融資に頼っている。2004年には、世銀は6,500万ドルの融資を行ったが、そのうち5,000万ドルはグラントであった。だが、依然として、地方の再建にはドナーからの資金供与を必要としている。

2. ザンビア

 5月12日、ザンビア政府とパリ・クラブの加盟国政府はパリで債務帳消しについての会合を持った。ここで、HIPCイニシアティブの完了点に達したとして、14億ドルの帳消しを受けた。さらに加盟国が3億9,300万ドルの2国間追加援助を約束した。その結果、ザンビアの債務は19億2,000万ドルから、1億2,400万ドルに減額した。さらに2005年、2006年、2007年の債務返済を50%減額するというリスケを行った。
 2003年、ザンビアの対外債務は70億ドルであった。その45%が2国間債務であった。一方、ザンビアのGDPは30億ドルに過ぎなかった。
 今回のパリ・クラブの帳消しで、ザンビアは今後10年間、毎年3,000万ドルの返済を免れることになる。しかし、ザンビア・ジュビリーのJack Jones Zuluは「ザンビアがMDGsを達成するためには、年間6臆ドルの資金を必要としている」と述べた。
 ザンビアの債務は将来増加すると予想される。というのは現在の制度では、財務省は議会に承認なしに借金をすることができる。国連は、債務支払い額が年間予算の13%を最大限とすると規定しているにもかかわらず、ザンビアは30〜38%を充当している。とくにザンビアは、価格が値下がりしている一次産品の輸出に依存していることから、これは重大な事柄である。
 ザンビアは人口1,100万人、銅の埋蔵が豊かな国である。しかし、国連の人間開発指数では177カ国のうち164位である。GDPは1人あたり840ドルでありHIV /AIDSの蔓延により、平均寿命は32.7歳である。
 4月には、ザンビアが完了点に達しているとして、IMF・世銀から39臆ドルの多国間債務帳消しを受けた。

3. ホンデュラス

 5月12日、ホンデュラスの債務帳消しについてのパリ・クラブ会議が開かれた。ホンデュラス政府とカナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、日本、オランダ、スペイン、スイス、米国、英国、ノルウエイ、それにIMF、IDA、UNCTADが出席した。
ホンデュラスがHIPCイニシアティブによる完了点で達しているご褒美として、10億ドルの帳消しを受けた。その80%(8億5,500万ドル)は2国間債務の帳消しであった・
 ホンデュラスは2003年には48億ドルの債務を抱えており、すでに2004年4月に1億4,700万ドルの債務帳消しを受けた。また2005年にはさまざまなソースから総額19億ドルの著消しを受けた。
 Ricardo Maduro大統領は、「満足を表明し、帳消しで浮いた資金を貧困削減に充てる」ことを約束した。しかし、ホンデュラスは人間開発指標では115位であり、人口700万人のうち70%は貧困下にある。
 ホンデュラスのNGOの連合体であるFOSDEN(対外債務と開発の社会フォーラム)は、「ハリケーン・ミッチに襲われた後、債務支払いのモラトリアムを受けたが、それでも1999〜2004年間に10億ドルを支払ってきた」と述べた。