DebtNet通信 (vol.3 #29)  
トービン税法がベルギー議会で採決
2004年8月2日

1.2004年6月15日、ベルギー連邦議会の金融財政委員会に提出されていた「トービン税法」が社会民主党、キリスト教民主党の多数派が賛成することによって採決された。自由党と極右政党は採決の引き延ばしに出たが失敗した。

7月1日、「トービン税法」はベルギー連邦議会で25票の僅差で可決された。

これは為替取引税(CTT)推進派にとっては、フランス議会に次ぐ勝利である。これが、EU内のCTTの導入に大きな弾みになると期待される。

ベルギー連邦議会で採択されたものは、通常はごく薄い率の税をかけ、一旦、通貨投機に見舞われた場合、高率の税(80%ぐらいまで)をかけるという「2層」方式のいわゆる「スパ―ン税」と呼ばれるものである。

CTTと類似の税である株式取引税に関しては、すでに先進10カ国(G10)中、6カ国で2層方式で導入されている。英国では、通常の薄い株式取引税では、0.5%がかけられており、その収入は45億ポンドに上っている。第2の高率の株式取引税については、すでに米国で、1987年のブラック・マンデーでブレーカーの役割として、課税されたという例がある。

EU内では、今のところ、ドイツとスカンジナビア3国がCTT導入に反対している。

2.さる6月13―18日、ブラジルのサンパウロで第11回国連貿易開発会議(UNCTAD XI)が開かれた。1964年にジュネーブで第1回のUNCTADが開かれて以来、4年毎に開かれたきた。これは閣僚レベルの総会で、「特に途上国の経済成長と開発に向けた国家開発戦略とグローバル経済プロセスとの調整を強化する」がメイン・テーマであった。

UNCTAD総会の議長を務めたホスト国のルラ大統領は、従来からの持論である「貧困と闘うグローバル基金」の創設を訴えた。これに対して。フランスとチリが賛同した。ルラ大統領は、さらにこの基金の資金源として「金融のパラダイスや武器取引」に国際税をかけるというものであった。Giorgio Romano Schutte大統領特別顧問が市民社会フォーラムで解説したところでは、この金融のパラダイスへの課税とは、CTTのことである。ルラ大統領は今年の9月20日、ニューヨークで開かれる国連総会にCTTイニシアティブを提案すると語った。