DebtNet通信 (vol.3 #28)  
ドイツ政府、インドネシア債務と環境をスワップ
2004年6月2日
5月15日付けの『ジャカルタポスト』紙は、5月14日、ドイツ政府はインドネシア債務と環境保全プロジェクトとのスワップに合意した、と報じた。これはUschi Eid経済開発協力副大臣がジャカルタを5日訪問し、交渉した結果であった。彼女は、インドネシアの経済大臣をはじめNGOとも会合をもち、同時にドイツ政府のODAプロジェクトも見学した。その結果、環境保全が非常に重要であるとの認識を強めた、という。

その内容は、ドイツ政府はインドネシアの債務2,500万ユーロ(2,925万ドル)分を帳消しにする。一方、その見返りにインドネシア政府はその50%をルピア貨で環境保全プロジェクトに投資する。

どのプロジェクトになるかについては、これからインドネシアの森林省と環境庁との間で具体化される。

今日、インドネシア政府はドイツ政府に対して、10億ユーロの債務を抱えている。

ドイツ政府がインドネシア政府との間で、債務スワップに合意するのはこれで、3度目である。第1回は、2000年12月、2,560万ユーロを教育プロジェクトとスワップした。インドネシア政府は、1,280万ユーロ分のルピアを使って、17省に511の研修所を建設することになった。これは基礎科学分野の教師を養成する目的であった。第1回の債務と教育のスワップはほとんど完了に近い。

第2回は2002年10月、2,300万ユーロの教育スワップであった。インドネシア東部の初等、中等教育の改善のために100校を増設するという計画であった。校舎の建設は進行中であって、2006年中に完了予定である。インドネシア政府はこれに、1,150万ユーロ相当のルピアを支出しなければならない。

しかし、ドイツ政府は、正式には、第1回以来の債務スワップによる債務帳消しを実行していない。

この債務スワップを現地でモニターしているのはジャカルタに支部を置くドイツ開発銀行KfWである。

一方、同じKfWは、5月14日、インドネシア大蔵省との間に、(1)900万ユーロのソフトローンの供与、(2)100万ユーロの無償援助の供与に合意した。これは産業公害の抑制のために支出される。(3)KfWは、500万ユーロの無償援助をHIV/AIDS感染防止の全国キャンペーン、研修、草の根活動を支援するために供与することに合意した。