DebtNet通信 (vol.3 #26)  
IMFはザンビアの債務救済を拒否
2004年4月9日


ザンビアは、2000年11月に、HIPCイニシアティブの決定点に達した。その時、IMFとの協定では、ザンビアは2003年12月には「完了点」に達し、68億ドルもの巨額な債務の半分近くが削減されることになっていた。

IMF・世銀は、その後の2年間では、ザンビアは「良い記録」を出したと評価した。しかし、2003年4月になって、IMFはザンビアをクレジット・ラインから外してしまった。その理由は、ザンビアがIMFが決めた公務員のサラリー額の制限をオーバーして払っているということであった。その結果、ザンビアは、それまでの「貧困削減成長ファシリティ(PRGF)」から外され、IMFの「スタッフ・モニター・プログラム(SMP)」なるものの下に置かれることになった。そしてこの間、もしザンビアがIMFの課した条件を満たさねば、完了点に達したと認められず、したがって、債務救済を受けることができない。その結果、ザンビアは2004年には3億ドルの債務返済を行わねばならない。

なぜ、ザンビアは公務員のサラリーをIMFが規定するより多く支払っていすのだろうか。
ザンビアでは政府機関は最大の雇用者である。したがって、ザンビアでは、これを民間企業が支払っているサラリーや近隣諸国の国で公務員に支払っているサラリーの額と比較することは出来ない。なぜなら、ザンビアでは能力のある公務員の多くは、より良い条件の職場を求めて転職してしまう。そこで、ザンビア政府は、良いスタッフを引き止めておくために、住宅手当を支給している。その結果、公務員のサラリー総額は、IMFが規定したGNPの8%の制限を突破して、9%になったのである。

この8%の制限を維持するためには、今年は全く賃上げできない。一方、付加価値税と輸入税の値上がりによって、物価は上昇している。この住宅手当も大きく削減されている。また、これから1年半、ザンビア政府は、政府機関の医者と教師は不足しているにもかかわらず、新規の雇用はできない。ザンビア政府は、IMFの要求を満たすため、このような措置を4月1日から開始することになっている。

ザンビアのSMPは2003年7月にはじまり、2004年7月に終わることになっている。そのためIMFは6人のエコノミストをザンビアに派遣した。彼らは、それぞれ財政、通貨、外交の専門家であるはずなのに、最近大学を出たばかりでザンビアについて何の知識もない連中だった。

PRGF実施中の2年間、IMFは2回ほどザンビアを訪問した。しかし、SMPでは年に4回の訪問に増えた。また、SMPの進捗状況を月に1回報告しなければならない。そこではザンビア政府は、すべての支出を正当化しなければならない。財務大臣が司会する委員会が2週間おきに開かれ、IMFの現地代表はそれにオブザーバーとして出席している。

ザンビアはまた、SMPの下では、財政赤字をGDPの3%以下に抑えねばならない。その上、ザンビアはエネルギーと通信の分野での民営化を行わねばならない。より悪いことに、これらの準国営企業を売却したカネを、投資や消費の拡大のためにではなく、債務返済のために使わなければならない。