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DebtNet通信 (vol.3 #19) |
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60周年を迎える世銀・IMF |
2004年2月21日 |
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1. IMF・世銀の60周年はもう沢山だ 米国、ワシントンに本拠を置く世銀・IMF反対キャンペーンのNGO「50 Years is Enough」は、4月22日から開かれるIMF・世銀の合同春季会議にむけて、4月22日〜25日の4日間、ワシントンで、「60 Years is Enough」の国際会議を開く。 2. 水道事業の民営化―世銀の最も新しい市場妄想(抄訳) モード・バロウ(Council of Canadians)・トニイ・クレアー(Polaris Institute) IMF・世銀の構造調整プログラムが医療、教育、食糧安保、雇用の分野で途上国に及ぼしている影響については、これまで多くの調査資料がでている。しかし、最近世銀が執心している水道事業の民営化についてはほとんど知られていない。世銀は、こっそりと次々と途上国で、水の供給を利潤主導型に変えることを押し付けており、それが何百万もの人々の水へのアクセスを奪っている。水へのアクセスは人権であり、公共サービスの根幹である。しかし、世銀は、豊富な融資資金を投じて、水資源の商品化を図っている。 今日、利潤主導型の水の供給を行っている企業は10社にのぼる。その中でも、Suez、Vivendi(最近Veolia Environment of France and RWEAG of Germanyに改名)の2社が、100カ国、3億人に上下水道を供給している。 この2社に続くのは、Bouygues SAUR、Thames Water (RWEが所有)、Bechtel-United Utilitiesである。 これら企業は急成長をとげた。10年前には、12カ国で5,100万人に供給していた。現在、まだ民間企業のシェアは全世界の水道事業の10%にすぎないが、その伸びはめざましいものがある。10年間で、ヨーロッパと北米では、上位3社が70%のシェアを占めるに至った。 これら3社の収益の伸びもめざましい。10年前、Vivendiの収益は年間50億ドルであったが、2002年には、120億ドルに達した。英国のThames Waterを買収したRWEは、10年間で、収益を9,786%も伸ばした。10社の収益は1,600億ドルを記録し、年成長率は7%である。この収益は、しばしば進出している国のGNPより大きい。またこれら企業が雇用しているスタッフは、進出先の政府のスタッフの数より多いことがある。たとえばVivendiは世界中で29万5,000人、Suezは17万3,000人を雇用している。 世銀がこれら企業の利益に奉仕しているやり方には2つある。第1は、途上国政府に水道事業開発の融資をする。この場合、水の民営化を条件付けている。第2は、国際金融公社(IFC)が水の民営化を行う企業に融資をする。この10年間で、世銀は水事業に200億ドルの融資を行い、水の民営化の主要な推進役となった。 2003年2月、ワシントンにある捜査型ジャーナリスト国際連盟が1年間かけて調査した結果を発表したが、それによると、過去5年間の世銀の水事業への融資の大多数は、民営化を条件にしたものであった。そして、水の企業のヨーロッパと途上国における活動のプロフィルが明らかにされた。それは巨額の利益、水の価格の上昇、貧しい受益者への供給の中止、事業の不透明性、水質の悪化、収賄、腐敗などが記録された。 たとえば、2001年、ボリビアの悪名高い「水戦争」を挙げよう。これは世銀のイニシアティブに始まり、Bechtelの子会社が関与した事件であった。民営化後に水の価格が3倍に跳ね上がった。そこで、数千人の人びとが抗議デモをした。その結果、政府が折れて、民営化は中止になった。現在、Bechtelはボリビア政府を告訴している。 2002年7月、アルゼンチン経済がメルトダウンして、もはや利益をあげることが不可能と判断したSuez社は、30年に及んだブエノスアイレス市の上下水道事業の契約を打ち切った。さらに悪いことが起こった。同社は、最初の8年間の契約の間に、規制の弱いことを利用して、再交渉し、子会社のAguas Argentinas社が、年間19%の利潤を確保するという契約を結んだ。契約では水道料金は27%下がるはずであったが、逆に20%上昇した。スタッフの50%が解雇された。そして契約にあった新規の下水建設を履行しなかった。その結果、市内の下水の95%がリオデルプラタ川に直接流されている。 セネガルでは、SAUR社が水道事業を独占している。1996年、同社は世銀から9,600万ドルの融資を受けた。その融資条件には、「コストの回収」が義務づけられていた。これは、貧しい受益者からも料金をとることを意味した。その結果、多くのセネガル人が、濾過していない水に頼らざるを得なくなった。これは多くのアフリカ諸国で起こっていることである。たとえば、南アフリカ政府は、2年間で、1,000万人の水の供給を中止せざるを得なかった。南アフリカの憲法には、すべての人に水のアクセスを保障しているにもかかわらず。 メキシコのフォックス大統領は、世銀から融資を受けるために、PROMAGUAと呼ばれる国家的なプログラムを発表した。これは現在、30州のうち27州で水の民営化を推進している。PROMAGUAは2億5,000万ドルの世銀のグラントを受けて、5年から50年の期間で企業に水の民営化を契約している。その結果、Suezと Vivendiという巨大企業とUnited Utilities とAguas de Barcelonaがメキシコの現地会社と合弁で民営化を進めている。メキシコの地方自治体の20%は、すでに水を民営化したことになる。すでに水の料金が値上がりし、供給をストップされてケースや、水質の悪化や、漏れた箇所の水道管の取替えなどを怠っているケースも多く報告されている。 このような話が伝わると、企業に対する風あたりも悪くなる。その結果、すばやく撤退するものも出てきた。しかし、世銀は、水の民営化促進の融資を、2003年の13億ドルから、2004年には40億ドルに増やすと発表した。
2003年11月、この報告書の発表後、環境NGO3団体と世銀の関連部門のスタッフ、IFC、MIGA、それに世銀理事たちとの1週間にわたる会合が持たれた。まず彼らは報告書の挑戦的なタイトルに反発した。そして、「世銀は、過去の悪い経験から学んでいるので、繰り返すことはしない」と反論した。そして、パワー・ポイントを使って、さまざまな例を長々と紹介した。しかし、報告書の構造的な批判部分についてふれたものはなかった。そして、NGO側に反論の機会を与えなかった。そして、最後には、借り手である途上国政府が、このような巨大プロジェクトを要求している、ということを言う。
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