DebtNet通信(vol.3 #8)  
「ブッシュ大統領の年頭教書」
2003年2月6日

                    
1) ブッシュ大統領の年頭教書について
 ブッシュ大統領は1月29日の年頭教書において、米国は、エイズ対策費として、来る5年間で100億ドルを支出すると語った。
 ブッシュの真意については、米国が昨年12月末、ジュネーブのWTO交渉で、ドーハのTRIPs協定宣言についての交渉で、「治療薬を国産できない国のコピイ治療薬へのアクセス(つまり貧しい国がコピイ薬を輸入すること」を拒否したことを、「化粧直し」したものだ、と分析されている。この100億ドルのうち、90億ドルは、米国が選んだ国に対して、2国間交渉で、供与されることになっている。
 米国では、大統領がいくら公約をしても、こと予算に関しては、議会が承認しなければ、実際のおカネは出ない。
 ところが、2月4日、ブッシュ大統領が、議会に対して要求したエイズ対策費は、2004会計年度の予算は、たった2億ドルであった。
 これに対して、Global Aids Alliance(GAA)のPaul Zeitz会長が、以下のような声明を出した。
「これは危険な警告であり、GAAは非常に不満である。ブッシュの行為は、グローバル・エイズ基金を破産させ、国連が必要な治療を行うことを不可能にした。大統領の行為は子どものエイズ患者の救済、エイズ孤児の救済などを真っ先に不可能にする。 
 ブッシュ大統領の年頭教書を受けて、すでに議会は4億ドルのグローバル・エイズ基金への予算を準備していた。幸い、Dick DurbinやMike DeWine上院議員などの奔走で、さらに1億8,000万ドルが追加された。また上下両院会議において、ブッシュ大統領が公約した「アフリカに対する緊急計画」を実行に移すべく、国連グローバル・エイズ基金への米国の30億ドルという拠出金額に達するよう試みられる。
 なお、国境なき医師団は「エイズ患者のコピイ治療薬は、年間50ドル」という数字を発表した。

2) 為替取引き税(CTT)について
 1月末、ブラジルのポルトアレグレで開かれた第3回世界社会フォーラムに、ブラジルのルラ新大統領、ベネズエラのチャベス大統領が出席した。これは、正式の招待状が出たわけではなかったので、正規のセッションでのスピーチではなかったが、2人とも、「CTTを導入し、貧困根絶に充てることを公約した。途上国の首脳による「CTT導入」は始めてである。なお、ルラ大統領は、CTT導入を含めた「連帯経済」についての経済顧問にPaul Singer教授を起用した。