DebtNet通信(vol.3 #2&3)  
「IMFがアルゼンチンに緊急融資を決定」
2003年1月28日

 世銀が新しく拡大HIPCイニシアティブの担当者にVikram Nehru(インド人)を任命した。Nehru氏はBBCとのインタービュで、「先進国が途上国の製品に対して保護貿易主義政策を採っているため、貧困国をより貧しくしている。一方、これらの国は債務救済を受けている。しかも債務救済の資金を出しているのは、これら先進国である。したがって、このHIPCイニシアティブを改革すべきだと考える」と語った。

 一方重債務貧困国(HIPCs)は債務救済と引き換えに、経済自由化を押しつけられる。これには、民営化、貿易障壁の撤廃、国内産品に対する補助金の削減などである。また、債務救済は貧困国の輸出のレベルに相応している。貧困国の場合、輸出品の多くは一次産品であり、最近、世界市場で値下がりしている。米国とEUは世銀とその経済政策を後押ししている一方では、自国の農業部門に巨額の補助金を出している。このような補助金が米国やヨーロッパの農民が過剰生産に走る所以である。そして、先進国の農産物が国際市場に溢れ出て途上国の貧しい農民を苦しめている。

返済できない債務
 今日、HIPCsの26カ国が、拡大HIPCイニシアティブの措置を受けており、帳簿上から420億ドルの救済を受けている。今日では、この26カ国の年間債務返済総額は220億ドルになった。しかし、ウガンダ、ザンビアは最近、拡大HIPCイニシアティブの削減措置をうけたにもかかわらず、債務が非持続可能になり、返済不可能に陥った。それでもなお、Nehru氏は、」HIPCイニシアティブそのものにあるのではない」と言っている。

 Nehru氏によれば、債務国の財政規律の欠如と一次産品の国際市場価格の下落が債務を増大させたのであって、HIPCイニシアティブに非はないという。
 
 HIPCイニシアティブは、債務国の債務を輸出の150%以下に下げることを目的にした。例えば、ウガンダは、最初にHIPCイニシアティブの適用を受けた国であって、ついに完了点に達した。しかし、ウガンダの債務は1998年の34億ドルから、昨年6月10億ドルの削減を受けた以後、38億ドルに増えた。
 ウガンダの債務増加分は、利子を支払うために借入れをしたことによる。しかし、Nehru氏はこれを認めようとせず、「たしかに、債務救済後に債務が増えてはいるが、HIPCsの削減交渉を始めた1999年に比べると、債務額は減っている」と主張した。
 債務削減の交渉中は、債務と輸出比が指標になる。しかし、ウガンダのように、一旦債務救済が終わった国は、収入といえば一次産品の輸出しかない。したがって、債務額が増え、非持続可能になり、返済が不可能になっても、自力で解決しなければならない。IMF・世銀には、責任はない、と言う。
(2003年1月15日付けのEURODADの通信より)