DebtNet通信(vol.3 #13)  
「エビアン・サミットとIMF・世銀の春季会議」
2003年5月5日

1) エビアン・サミットのお知らせ

 今年のG8サミットはフランスのエビアンで6月1〜3日に開かれる。エビアン水の産出地,ということはリゾート地である。
 フランス国内では、沖縄のジュビリー会議に出席したカトリックのCCFDをはじめとして、ATTACなどの社会運動、カトリック系、社会党系、共産党系の全国労組などすべての民間団体が参加した「債務と開発のプラットフォーム」が設立された。
 プラットフォームは、途上国の債務問題の解決をサミットの最大課題にするよう呼びかける。
 サミット初日の6月1日(日曜日)には、Evian―les―Bainsにおいて、デモを行うことになった。デモには、参加者すべてが、デモに行かれない人の分まで預かって、紙の輪を持ち寄る。これでデモの当日、鎖を作り、「債務の鎖」として、抗議の意を表す。
 サミット前の5月30〜31日の2日間、「Summit for Another World」というテーマの対抗サミットを開く。この中のテーマには「債務と構造調整」のセッションもある。
 対抗会議の情報はwww.dette2000.orgのWeb Siteを参照のこと。

2) G8債務戦略会議と共同声明について

 エビアン・サミットに向けて、債務帳消しキャンペーンの国際戦略会議が、さる4月15日にパリで開かれた。これに出席したのはフランス、英国、ドイツ、イタリ―のヨーロッパ4カ国のジュビリー組織であった。フランス側の連絡が悪く、この招待状は日本に届かなかった。

 戦略会議の議事録によると、
 (1)情報交換
フランス: 
フランスジュビリー(2000年後には、CCFDだけでなくATTACやIMF・世銀ロビイ・グループなどが参加し、再組織された)が3月にシェルパ代理のPallez女史に会った。議長国フランスは債務問題を討議することに前向きだという。再度会合を持つ予定。
ドイツ:
ドイツ・ジュビリーは、2月にシェルパと会合をもったが、債務問題はとりあげないという感触を受けた。HIPCイニシアティブについては、ドイツ政府は債務の持続可能性については再考するが、HIPCイニシアティブのスキーム自体を変えることはしないといった。SDRMについてはドイツは支持している。ジュビリーの主張にも耳を傾けた。ドイツ・ジュビリーとしては、今後、政府との会合は予定していない。
イタリー:
政府との対話はない。
英国:
政府とのこれまでの対話の中で、多国間債務救済について、「International Financial Facility―IFF国際金融基金」を使うことを議論した。

(2)IMF・世銀の春季会議
 4月の春季会議では、SDRMは、ヨーロッパによって支持されたが、米国と途上国のG24の反対で葬り去られた。
(3)これからの残された課題
 イラクの債務:米国のJohn Snow財務長官がイラクのOdious Debtの帳消しを債権者たちに提案している。これは「一部の人によって作られた債務を国民全体に返済を請求してはならない」という理由である。債権者に対して、イラク以外のOdious Debtがあることを思い起こさせることが出来る。
 G7蔵相コミュニケ:G7蔵相はこのイラク債務問題を含んだコミュニケを、パリ・クラブに提案した。パリ・クラブは、5月中にこれを取り上げることになっている。これをモニターすること。
 コミュニケにはカンクンに関した記述があるが、この政治的な意味を研究すること。

3)共同声明について

 私の留守中に、声明の草案が届き、4月26日、帰国と同時に、私の独断で、急遽署名した。
 すでに米国、カナダも署名しており、4月28日付けで発表された。ただし、米国も、カナダも、債務帳消しをテーマにするジュビリー連合はない。
 これは、エビアン・サミットまでは、G7各国のジュビリーが、それぞれ政府にロビーする時の共通の文書とする、エビアン・サミットではG7首脳に対する共通の声明になる。

 現在、事務局の普川さんが翻訳中です。それは出来るだけ早く、DebtNetのメーリングリストに載せます。これを、5月22日、午後2時〜4時のDebtNet連絡会で議論しましょう。