DebtNet通信(vol.2 #5)  
「パリ・クラブがインドネシアの債務繰り延べ」
2002年4月24日

インドネシアがパリクラブで債務削減を受ける

 4月8〜12日、パリで、インドネシアについてのパリクラブ会議が開かれた。ここでは、2003年末までに返済しなけらばならない75億ドルの債務返済分の内、54億ドルがリスケの対象になった。その結果、2004年までにインドネシア政府はパリクラブの債権者に対する債務が、27億ドル以内になった。

 このパリクラブの合意内容は、(1)インドネシア政府はODA債務を10年の支払い免状付き、20年間にリスケされた。(2)民間債務に関しては、5年の免状期間付きで、18年間のリスケとなった。また債権国は、2国間ベースで、「債務と環境」、「債務と証券」スワップという元金の削減措置を講じてもよいことになった。

 インドネシアはすでに1998年と2000年に債務削減措置を受けているが、今回はこれらに比較するとわずかばかり、前進している。だが、アジア危機以来のインドネシアの債務危機解決からほど遠い。
 以前の2回のパリクラブ会議と同様、パリクラブの債権国は、インドネシアの債務返済の方法を変えることだけしか認めず、短期の融資は行うが、債務そのものの解決を拒否した。
 2004年に、インドネシアのパリクラブ会議を再度開催しなければならない。なぜなら、2003年後には、インドネシアの債務状況は、国内債務の返済期限が来ることによって、さらに悪化することが見込まれるからである。その間、インドネシアのGDPの100%に上る巨額の債務の返済が開発予算、社会福祉予算の大幅な削減を強いるだろう。これによって、インドネシアの経済成長と貧困削減は大きな打撃を受ける。

 インドネシアは、債務の元金の大幅な削減を必要としている。「債務の人間開発アプローチ」による債務の持続可能性を計るべきである。それは、政府が、教育、医療、安全な水といった人間の基本的はニーズを提供できる予算を組むことが出来るまでに債務を減らすことである。EURODADの推計では、インドネシアの債務は半分に削減されるべきである。
 この場合、パリクラブの債権国は、79%の削減が必要である。これはナポリ条項より多く、HIPCsイニシアティブによって削減を受けているケルン条項に近い。

 インドネシアはHIPCsの適格国ではないが、2国間、多国間債権者は、インドネシアの債務削減を平等にシェアすべきである。そのためには、パリクラブの債権国は、ナポリ条項による67%の債務削減を行い、IMF、世銀は79%まで債務を削減すべきである。この場合、日本のような大口債権国、世銀、アジア開銀などはかなりの財政的負担を覚悟することになる。
(EURODADからのニュースより)
(北沢 註)
 INFIDのメンバーである、インドネシア、英国、フランス、オランダ、ドイツなどヨーロッパのジュビリーや債務問題に取り組んでいるNGOが、同時期にパリに集まり、活発はロビイ活動を展開した。
 4月に入って、日本のDebtNetにも招待が送られてきたが、残念ながらパスせざるを得なかった。