DebtNet通信(vol.2 #42)  
WSSD(ヨハネスブルグ・サミット)報告 その5
2002年8月29日

8月29日


パートナーシップ(ラウンドテーブル)会議
「地域別の実施」
「非国家セクター」


1. 閣僚レベル

 この日から2日間、閣僚レベルの会議
 あらかじめの約束事は、「世界実施文書」草案を26日から始まった事務(官僚/外交官)レベルの会議で審議をし、ブラケットを外す。まとまらなかった部分を閣僚レベルに送り、政治的に決着をつける。同時に、議長である南アフリカのズマ外相が出す「政治宣言」草案を審議する、ということであった。
 しかし、8月24日の時点で156個所のブラケットがあったが、事務レベルの審議がまとまらず、28日の時点でも、84ヵ所残っていた。
 そこで、事務レベルと閣僚レベルの審議を並行して進めることになった。
 閣僚会議は、この日は、午前中に短い会議を開いたきりであった。

2. ウイーン・スタイルの事務レベルの会議

「公衆衛生の実施ターゲット」「再生可能なエネルギーの数値と期限ターゲット」を閣僚レベルに送る。
ある先進国が「人権と基本的自由」を閣僚レベルに送ると提案したが、途上国が、事務レベルでの審議の続行を主張。
「2つのリオ原則」について、いくらかの先進国(多分米、日、カナダ、オーストラリア)が、「原則」を包括的なパッケージで取り扱うことを提案。しかし、他の先進国(EU)と途上国グループが「原則」はユニークであるので、別個のものとして扱うべきだと、反論した。合意なし。

インドネシアのサリム環境相は、午後に「ズマ外相との協議の末、ウイーン・スタイル会議の未合意個所を閣僚レベルに送る」ことを発表した。閣僚レベルは、非公式の2国間協議で合意した文言をウイーン・スタイル(事務レベル)に差し戻される。閣僚レベルの全体の会議は開かれない。
「アジア太平洋の持続可能な開発」について「北九州クリーン環境研究所」の文言を残すことに合意した。
 ウイーン・スタイルの会議は、議論し尽くしてしまった。そこで、閣僚会議をウイーン・スタイルで開くべきだと言う意見が出た。その議題は、「2つのリオ原則」「グッド・ガバナンス」「人権」「世界連帯基金」「公衆衛生」「エネルギー」「持続可能な消費と生産の10プログラム」「貿易」「資金」「天然資源」「気候変動」「グローバル公共財」「グローバリゼーション」「社会的側面」などであった。これを閣僚会議に送るには、あまりにも多く、また、事務レベルで審議していない項目や、デッドロックだという合意もない項目もある、という反論がでた。また、5章、10章のコンタクト・グループは事務レベル会議に報告もしていない。
議長のKumalo南アフリカ環境省は、代表たちの「寛大さ」に訴え、先に進むことを懇願した。
午後早くに休憩に入ったウイーン・スタイルの会議は午後10時半に再開した。「環境についての国連協定・条約とWTOとの関係」と「保健に対するPrecautionary原則/アプローチとリスクのアセスメント」に関して3時間半、修正案が相次いで出た。2うとも、合意がなく、閣僚会議に送ることになった。
「土地と土地所有へのアクセス」にかんしては、コンタクト・グループの草案を採択した。
30日未明午前2時半に、「共通だが、差異のある責任」について審議がはじまった。

コンタクト・グループI、II(第5章、第10章)とも1日中審議が続いたが、進展なく、合意個所はない。

廊下での噂話し

 ズマ議長は、「政治宣言」の草案は「30日午後に配布する」と約束したが、29日には一部の代表団の手に渡っていた。これにたいする不満は大きい。
 あるヨーロッパの代表が、コンタクト・グループから交渉仲間を引っ張りだし、そこでの議題を、閣僚会議に出した。この大胆なやり方は、ちょっとしてパニックを起こした。これは、「数値目標や期限の設定、強い文言の挿入」だとして、賛成するものが多かった。
しかし、他方では、8月29日の時点で、このようなトランプを賭けにでるのは早すぎると、批判的なものもいた。
 G77+中国と米国の反対で、このブラフは失敗した。

「再生可能なエネルギーの数値と期限目標」について、29日の非公式協議で「ボランタリーな地域のターゲット」という表現が提案された。これは、他のデッドロック(例えばG77+中国グループ内のOPECグループと小島嶼国グループの対立)の解決にもつながると宣伝されたが、あるものは、疑っている。