DebtNet通信(vol.2 #41)  
WSSD(ヨハネスブルグ・サミット)報告 その4
2002年8月29日

パートナーシップ(ラウンドテーブル・ミーティング)

「水と公衆衛生」
「エネルギー」

1. ウイーン・スタイル会議(「世界実施文書」草案の審議)

午前
第3章 持続不可能な消費と生産のパターンを変革
「化学物質の健全な管理」について、「人間の健康と環境に及ぼす悪影響に取り組む」際の、とくに「期限付きのターゲット」について議論が続いた。「2020年までという期限付きターゲット」に対して合意しても良いという一般的な雰囲気であったが、適切な表現では合意していない。「悪影響に取り組む(Address)」を“do not lead to”、“minimize”、“significantly reduce”、“reduce”などの表現が提案された。途上国側は「途上国の特別な条件とニーズを考慮に入れて」を挿入することを要求した。しかし、先進国側が反対した。複数の国が、このパラは、「ターゲット」「途上国の条件」「影響を削減する際の言葉」と間のバランスを取るべきだと主張した。あるグループは、第22パラに入っている「適切な国際的対応を決める」というブラケット付きの文章を審議するよう要求した。数カ国が、このパラの審議を「閣僚レベルに送ること」を提案した。

夜(午後は休会)
途上国側は「2020年のターゲット付き」の新しい草案を提出した。これには、「途上国の条件を考慮に入れる」の文言を撤回した。
「途上国のキャパシティ向上と技術、資金の援助」について審議した。いくらかの国は、これに賛成したが、「人間の健康と環境への悪影響に取り組む」についてより強い狂言を要求した。議長が「重金属」の前文と諸項目を一緒にして一括審議することを提案した。議長に対して、数カ国が賛成した。ある先進国(多分米国)は、「悪影響に取り組む」について、より強い表現に代えることに譲歩を示した。
その結果、「かなりの悪影響の最小限化に繋がる(lead to)期限付きの方法」という文言で合意を見た。そして「重金属の影響に国際的な対応」については削除することになった。

2. コンタクト・グループI 制度的枠組み

 午前中は一旦集合したが、すぐに「第10章の前文」について、インフォーマル交渉に移った。
 夜は、「“持続的な、強調的な態度で”、WSSDのフォローアップについてのECOSOCの役割とモンテレイ合意との間の緊密な関係を保証する」という草案に合意した。
 ある国が、「国内レベルのガバナンス」について新しい草案を退出した。最初の部分は司法当局について、「腐敗と戦う」「人権保護」「透明性、アカウンタビリティ、公正な規制機関を推進」が含まれていた。第2の部分は、「ステークホールダーの参加」「情報へのアクセス」「政策開発」「司法機関」などが強調されていた。あるグループは、現行の123、124パラを、新しい「国際レベルのガバナンス」の草案に代えることを提案した。その最初の部分は、「資金」、「貿易」、「技術」、「投資のパターン」、「国際的金融アーキテクチャーの改革」に取り組むことによって「グロール経済ガバナンスの重要性」を強調している。第2の部分は、「国連システムを再活性化する」「多国間主義にコミットすることを再確認する」ことの「必要性」を強調している。この文書の提案国は、「122(b)(c)、122(f)139の前文、122(g)の一部、138(b)、138(c)152のパラを削除することを提案した。いくらかの国がこれに賛意を示し、これを審議することを要求した。

3. コンタクト・グループII 実施手段

午後と夜に会合。Ashe議長の修正案を審議した。
「資金」ここの序論として、途上国側が、モンテレイ合意から引用して、「各国は、その開発について第1義的な責任を持つことを、十分に繰り返す」そしてモンテレイ合意にある「資金の“流れ”」を参照している。
「共通だが、差異のある責任に関しては、合意はない。
「既存の資金メカニズムを完全、有効な利用」について;「“より”透明性のある、そして“完全な”参加の“ ”部分を削除し、既存の国際金融アーキテクチャーを改革するという現行の努力を強化」について合意を見た。
合意したパラは「途上国が有効に参加できる透明性のある、均等な、包含的なシステムを強化する努力を強めるよう呼びかける」について合意した。
「途上国のインフラ開発」について、ある先進国が、「国内開発協力の枠組みの中で、とくに貧困削減戦略ペーパーにおいて、適切な式の近手当てをすることを奨励する」という新しいパラを提案した。
「(IMF、世銀の)重債務貧困国イニシアティブに参加を奨励する」については、「先進国の債権者」を削除した上で、合意を見た。
夜は、ある先進国が、資金の項での「グッド・ガバナンス」の挿入を提案した。
「貿易」については、「非農産物に対する関税の廃止」のパラにおいて、途上国側が「環境課題を強化するために発動される貿易制裁を止める」という草案を削除することに同意した。その代わりに、途上国側は、環境目的の貿易政策手段として、リオ宣言の第12章を新たにつけ加えることを提案した。これについては、リオ原則のコンタクト・グループを呼んで協議することになった。
「関税」について、ある国が「ドーハ宣言を再審議し、削除すること」を提案した。
「持続可能な消費と生産のパターンを阻害する、環境に害のある、貿易を阻む補助金」について、先進国グループは、「途上国」に特化した文言の削除を提案した。
「小規模経済についてのWTO作業プログラム」について、途上国は、「これは途上国の特別な状況にふさわしい方法で、途上国の持続可能な開発努力を支持すべきである」という手安をした。「ドーハ宣言のパラ35に参照した個所を残すことで、この部分は合意に達した。
「貿易と環境の相互補完性」については、合意はなかった。ある国は、「貿易、環境、開発」を提案した。いくらかの国々は、「WTOの権利と義務に整合性」という前文に、「これがヒエラルヒーを意味する」ものとして、反対した。
途上国側は「環境の影響のアセスメント、持続可能性の影響アセスメント(SIAs)、貿易、環境、開発の枠組みにおいて」“適切な促進する方法”の挿入を主張したが、合意を得られなかった。
「貿易の自由化の恩恵を強める」について、「持続可能な開発を現存の、また新しい貿易協力協定に統合することを支持する」パラについては、合意はなかった。
「ボランタリーな市場にもとづいたイニシアティブを支持」について、先進国グループは、前文に「WTOに整合した」「環境と社会的ベネフィットを最大限化する商品」を参照することを提案した。
「貿易、環境、開発の協力を推進する努力」について、途上国は、「ILOの事務局を指すなら、ILOを参照すること」に同意しても良いと、言った。
途上国は、「WTO、国連システム、その機関の協力」についての文言の削除を要求した。
途上国は、「ボランタリーな市場に基づいたイニシアティブ」について、「WTOと共存」「有機製品を含めた、かつ開発のベネフィットを最大限化するところの、環境に優しい商品とサービス」を挿入することを提案し、合意を得た。
ある国は、「公正な貿易イニシアティブ」を導入することを提案したが、失敗した。
「グローバリゼーション」にういて、前文の個所で、ある先進国グループは、「経済や社会の大統合が、国際経済、金融システムの不安定化と、環境と社会に悪影響を及ぼすことにに繋がるという憂慮」を認めた前文を支持した。
途上国側とある先進国は「国連子どもサミットと国連社会開発サミット+5を引用することを支持した。
ある先進国グループ(多分EU)と途上国グループは、「企業の責任とアカウンタビリティ」についての対案を提出した。これについては合意が得られず、コンタクト・グループ会議は閉会した。

廊下での噂話し

 「制度的枠組み」のコンタクト・グループの交渉は、閣僚会議が始まる前に、出きるだけブラケットを外そうとして、ピッチが上がった。小コーカスが出来て、部屋の暗い隅で、合意出きる文言を探し、譲歩の道を探った。外から見ていると、ここでは、譲歩の精神が見られ、南北の交渉のスタンスに明かな変化が認められた。深夜に入って、ドラマチックな動きが見られた。南北が、「国内レベル、国際レベルのガバナンス」という紛糾する問題について、それぞれ対案を提出した。これは歓迎され、多分合意への突破口となる、と観察された。
 どうやら、いくつかの問題点のパッケージが出来ていて、閣僚会議でこれらのパッケージの合意を計るという観測がある。情報通によれば、「米国は、官僚レベルで交渉を完了させて、閣僚レベルで最終的な決断をしなければならないことを避けようとしている」という。
 一方、EUは、閣僚レベルの審議に持ち込んで、「再生可能なエネルギー」「人権」のようなペット・プロジェクトを華々しく宣伝したがっている。
 G77+中国は、北よりの「世界実施文書」草案を、ベテラン外交官のレベルで交渉することを好んでいる。深夜流れた噂では、閣僚たちは、すでに「世界実施文書」の紛争点に関連し、「政治宣言」草案の審議に入っているという。