DebtNet通信(vol.2 #39)  
WSSD(ヨハネスブルグ・サミット)報告 その2
2002年8月27日

(これは、インターネットによるもので、現地報告ではありません)

8月26日

午前中;開会式、議長、副議長などの選挙、24〜25日の秘密会議の報告
午後、夜;

1. 2つのパートナーシップのラウンド・テーブル

テーマ:「健康」と「生物多様性/エコ・システム」
議長:南アフリカのズマ外相とオランダのイアン・プロンクWSSD特別大使
議論の進め方:関連の国連機関の専門家が基調報告を行い、9つのメジャー・グループがそれぞれ発言し、政府代表がコメントする。

2. 実質的な「世界実施文書」草案について

ウイーン・スタイルで討議

第2章 「貧困根絶」
 「世界連帯基金」「公衆衛生の実施期間」については、討議を先送り
 「雇用機会に対する援助」「ILO関連の項目」については、ILO宣言を取り入れることで合意
第3章 消費と生産
 「持続可能な消費と生産」「ライフ・サイクル的アプローチ」「エコ・ラベル」については、非公式の討議を続行する。
 「化学物質」については、リオ原則の審議を参考にする。
 「実施の期間」については、「世界実施文書」すべての関連の個所と一括審議する。
第4章 天然資源の保全と管理
 議長が配布した第23パラの「前文」についての新しい草案が配布された。新たに付け加えられた「鉱産物」の項目に合意。しかし、「期間の設定」「エコ・システム的アプローチ」「事前の警戒」については不同意。
 「諸協定に関連づける」ことにも不同意。
 パラ30の「均等な」を削除。
 「沿岸国の権利/利害/特別な配慮」の挿入に同意。しかし、現行の海洋法に、この新しい権利が関連するのではないかという疑問が出た。
 「エコ・システム的アプローチ」「破壊的な漁業方法」「買いよう資源の保護地域」などについて、「2012年」という目標値を設定することについて議論が続いた。
第6章 小島諸国(SIDs)
 「沿岸地域の境界、200浬を超える大陸棚を含む排他的経済水域などについてSIDs援助」についての議長の新しい草案に同意。
第7章 アフリカ
 前文の「紛争、不充分な投資、市場へのアクセスの機会の欠如、ODAの減少、持続不可能な債務の重圧、HIV/エイズの影響などがアフリカの持続可能な開発への努力を阻害している」という表現に合意
 「人権と基本的自由」の記述について議論を続行。
 「普遍的人権の尊重」を挿入すべきかどうかを議論。
 「戦略的な環境アセスメント」の議論を先送り
 「NEPADのエネルギー・アクセスへのターゲット実現を援助すべき」について議論を先送り
 
コンタクト・グループI;「実施手段」

 さる24日の秘密会議においてAshe議長から新たに提出された「資金」「貿易」についての草案を審議。しかし、多くの代表団は、議長の草案を手に入れていないとして、審議を拒否した。
 「対外債務」については、「パリクラブとロンドンクラブを含めたこれまでの機関で、熱心に、大胆に債務救済を進める」が提案された。また「先進国が債務救済の資金にODAを流用しない」という提案があったが、合意に至らず
 「貿易」については、「ドーハ交渉を2005年1月までに完了する」を削除すrという提案があったが、合意に至らず。「環境課題を推進するために一方的な貿易制裁を廃止する」を提案。「最貧国に対する関税と数量制限廃止」を「努力する」「強く要請する」「コミットする」などについて合意に至らず。「一時産品の価格の変動を安定させる国際的メカニズムの設置」が新たにが提案された。「環境破壊/貿易を阻む補助金」について、強い関心が示された。「持続可能性の影響のアセスメント」について、削除の提案があった。「持続可能な開発についての現行の、また新しい地域貿易協力」が提案された。「有機農産物の国内、国際的な市場の拡大」が提案されたが、合意に至らず。
「品質の管理厳守と消費者の信頼確保」「WTOに即した、ボランタリーな市場原理のイニシアティブ」が提案された。
 これらは、すべて審議続行となった。
コンタクト・グループII;「制度的フレームワーク」
 「共通だが、差異のある責任」「法の秩序と人権尊重」「国際機関におけるパートナーシップの促進」「国連持続可能な開発委員会(CSD)の常設予算メカニズム」「WSSDのフォローアップについてのECOSOCの役割とモンテレイ合意との関係」「情報へのアクセスと市民社会の参加のガイドライン」「人権と環境保全との相互関係」などは審議続行。

 2つのコンタクト・グループでは、「国際協力」と「途上国のガバナンス」との関係が
バランスが取れていない、という理由で、多くの個所で合意に至らなかった。
 オランダのKoen Davidse大使が、8月27日に、新しい草案をつくることになった。
 「持続可能な開発の国内戦略を作成し、2005年から実施して行く」ことについては、合意に達した。
 27日午前に、「グローバリゼーション」について審議予定。

 日本のマスコミは、南北間で、「世界実施文書」草案について、合意に達したという楽観的な報道をしている。しかし、24〜25日の秘密会議、26日午後以降の審議状況から見て、南北間の合意が近いとは言えない。
 審議がウイーン・スタイルで進められているが、途上国側は個々ばらばらに発言をして、地域毎に代表発言するという原則が守られていないという、先進国側の不満が積もっているようだ。
 京都議定書の批准についての交渉は、首脳レベルの議題になるという観測がある。京都議定書の交渉(COP―8)は来る10月に始まるので、「温暖化」にていての文言をすべて削除すべきだ、という提案もある。
 途上国の代表は、ウイーン・スタイルの審議について、椅子が足りなくて参加出来ない、という不満が出た。
 持続可能な開発については、市民社会の参加が不可欠であるという発言は、開会式の時のムベキ南アフリカ大統領、デサイ事務局長などの発言で強調された。しかし、これまでのところ、NGOのパスは毎日、500人に限定されている。噂では、早い者勝ちという、新しいアレンジがなされるという。