DebtNet通信(vol.2 #38)  
WSSD(ヨハネスブルグ・サミット)報告 その1
2002年8月26日

 私は、ヨハネスブルグには行っておりませんが、毎日、現地から送られてくる国連のブリーフィングやENBの議事録に沿って、纏めていきます。)

1. 8月14日の国連本部でのブリーフィング

 準備会議の「世界実施文書」草案の議論において、対立する項目について、Contact Groupが設けられ、インフォーマル、インフォーマル(秘密会議のこと)会合で合意を図ってきた。これは、8月26日、かWSSDの開始とともにすべて機能停止となる。WSSDではでは、G77とEUの要請で、(1)実施手段(資金、グローバリゼーション、貿易な)、(2)ガバナンス問題の2つのコンタクト・グループに限定される。これによって、小さい代表団ももれなく議論に参加できる。
 26日以降のNGOの参加については、すでに11,000人のNGOが登録されている。しかし、Sandton会場の収用人数は6,000人である。したがって、毎日、500枚のパスはNGOに提供される。
 政治宣言の草案は8月27日の配布される。

2.7月17日の“議長のお友達”会合

 さる7月17日、ニューヨークの国連本部で南アフリカのZuma外相を議長にして、“議長のお友達”という名の非公式会議を開いた。ここでは、バリの準備会議でまとまらなかった「資金(モンテレイ合意)」「貿易(ドーハWTO閣僚宣言)」「リオ原則」「数値と期間の設定」などをめぐって“ウイーン・スタイル”で話し合いをした。これはバリの準備会議でブラジル、インドネシア、南アフリカによって提案された方式ということになっている。
 秘密会議なのでどのようなことが決まったかかは憶測に過ぎないが、大きく言って、米国、日本がリオ原則を受け入れる代わりに、途上国がモンテレイとドーハの“決議”を再議論(Reopen)しない、という取引きがあったようだ。

3.8月24〜25日のインフォーマル・インフォーマル会議(秘密会議)

 8月24〜25日、土、日にかけてヨハネスブルグで、「世界実施文書」のブラケットが付いている項目について、インフォーマル、インフォーマルな(NGOとプレスを排除)会合が、ウイーン・スタイルで行われた。これは、参加自由な(Open-ended)会合である。
 参加国は地理的、あるいは利害や課題別にグループを形成し、会議では、グループの意見を代表して1人しか発言できない。ちなみに、このウイーン・スタイルは、正式に会議が開会した26〜27日にも採用される。

以下は8月25日付け『Earth Negotiation Bulletin』による8月24〜25日の議事祿の抄訳(WSSD「世界実施文書」草案を参照のこと)

1. インフォーマル、インフォーマル全体会合

8月24〜25日

 議長は、南アフリカのDumisani Kumalo国連大使、ブラジルのMaria Viottiと日本の赤坂Kiyotakaが議長の書記
 議論は「世界実施文書」のブラケットがついている個所を最初からパラグラフ毎に議論した。
第1章 序論
 リオ原則の「共通だが、差異のある責任」を小グループの交に委ねた。
第2章 貧困削減
 「先住民共同体の経済活動へのアクセス」について合意
 ILOの「コアの労働水準、倫理と持続可能な開発」について不一致
 「世界連帯基金」と「公衆衛生へのアクセスの期限と数値」については、小グループ送り
第3章 消費と生産のパターン
 「生産と消費政策をライフ・サイクル・アプローチ」は不一致
 代替提案の「効率を高め、セイさんの単位ごとの公害を削減する政策」を削除
 「より公害を出さない投資のインセンティブ」のパラについて、「WTOに反する貿易妨害を避ける」のブラケットを外す
 「エネルギー」「消費者情報ツール」「エコ・ラベル」「ボランタリーな/適切な使用」「持続可能な消費と生産の10年行動プログラムを可能なかぎり開発」「化学物質の管理」「重金属のリスクに適切な国際的対応」などの項目を小グループ送り
第4章 天然資源の保護と管理
 「国連海洋法条約の批准、その促進、実施」に同意
 漁業資源を最大限に持続可能なレベルまで維持、回復するのを2015年までにという目標設定」に同意
 「国連海事機構(IMO)により強い実施のメカニズムを考慮するよう要請する」に同意
 「不法な麻薬栽培」の表現に同意したが、「国際市場へのアクセス」は不一致
 GEFについて、「土壌悪化に供与を主要な分野」を同意したが、たの同じ表現は削除、また「国内環境に有利なプロジェクト」の表現を削除、さらに「GEFの次回増資」を削除
 「京都議定書の発効」をインフォーマル交渉送り 
 「エコ・システムと天然資源に対する影響」について、とくに「資源の損失をターゲット付きで逆行させる」「Precautionary原則とエコ・システム・アプローチ」「持続可能な、均等な漁業」「途上国の沿岸国の権利」「種の多様性の損失率を減らすターゲット」「種の多様性の利用から生まれる利益を均等にシェアする国際条約の交渉」などにについて不一致
第6章 保健と持続可能な開発
 「人権と基本的自由の原則に則して」の表現個所の議論を延期
第5章 グローバル化する世界の持続可能な開発
 「グローバリゼーション」に関する個所は、すべて「実施手段のコンタクト・グループ送り
第7章 小島嶼国(SID)の持続可能な開発
 「2004年までに公害が健康に与える影響と取り組む」「SIDのすべてのエネルギー源の有効な利用を促進」に同意
 「沿岸地域の管理と排他的経済地域」の議論を延期
第7章  アフリカの持続可能な開発
 議長がアフリカの章のブラケットについて、議論を延期
第9章 実施手段(貿易に関連のない方策)
 「2005年までに、初等と中等教育におけるジェンダー不平等をなくすターゲット」について同意
 「環境に優しい技術移転を推進、促進、資金供与」「公共所有のまたは公共分野の環境に優しい技術移転ねのアクセスを提供」「県境と環境保全のPrecautionary原則を適用」「国際テロに配慮した行動」などの項目を「市場経済移行国」について議論することを延期した
 議長は「よりクリーンな生産と技術を獲得するために途上国の方法論の研究開発を強化ふるために資源の供給、動員」について問題の表現について新しいパラを提案した

2. コンタクト・グループ会合

実施手段についてのコンタクト・グループ
8月24日

アンチグア・バーミューダのJohn Asheが議長
 「世界実施文書」草案の中の、「資金」、「貿易」、「グローバリゼーション」のブラケットが付いている個所について、議長が自分で書いた代替草案を提出した。
 途上国の代表たちは、「バリで獲得したバランスが消えている」と反対した。そして、旧草案の要素を再挿入することを要求した。それは「対外債務についてのモンテレイ合意」「貿易交渉への途上国の有効な参加」「関税、非関税障壁を削減、あるいは廃止」「貿易交渉に開発の視野をいれる必要性」などである。
 途上国は、さらに、g「グローバリゼーション」は独立して扱うべきだと主張した。
 ある先進国の代表は「議長のペーパーは、“議長のお友達”の会合の結果を性格に反映しているので支持する」とコメントした。
 長い休憩後、議長は、修正案を提出し、「モンテレイで合意した表現を取り入れた」と語った。議長に対して、多くの途上国が、バリのバランスを維持するよう要請した。
 「ガバナンス」と「資金の動員」「国連事務総長にODAのモニターの依頼」を再導入することに、反対があった。

グッド・ガバナンスについてのコンタクト・グループ
8月25日

オランダのKoen Davidseが議長に就任。
 第10章を議論した。代表たちは、より圧縮した記述を要求
 ガバナンスについて、国際的なものと、国内を質的にバランスさせるようにすべきだと主張した。そのため、新しいペーパーが準備されることになった。

8月26日(月)はWSSDが正式に開会する。
開会式に並行して、ラウンドテーブルの「パートナーシップ」の全体会議が開かれる。AMは、世界実施文書草案の「健康」、PMは「種の多様性/エコ・システム」について議論する。