DebtNet通信(vol.2 #35)  
「ブルキナファソ、モーリタニアが完了点に」「ボリビアの民営化」
2002年8月26日

債務問題

1. HIPCイニシアティブの現況

1)ブルキナファソが完了点
 さる4月12日、IMF、世銀は、ブルキナファソが拡大HIPCイニシアティブによる「完了点(CP)」に達したことに同意した。これによって、ブルキナファソは、5億7,500万ドルの債務元金の削減を受ける。その内訳は以下の通り。
 ブルキナファソは、すでに旧HIPCイニシアティブによって、2000年7月、CPに達したとして、2億2,900万ドルの債務削減を受けている。今回の拡大HIPCイニシアティブによる削減額は1億9,500万ドル、これに加えて、パリクラブによる2国間債務の削減(英国は100%)による2,200万ドル、残りの1億2,900万ドルは、外的なショックによる救済措置となる。
 ブルキナファソが、旧HIPCイニシアティブによる決定点に達して、債務救済の交渉に入ったのは1997年であった。
 ブルキナファソは、これまで債務返済額が、年間6,000万ドルであったのが、2005年まで2,000万ドルに減った。その後わずかばかり返済額が増える見込みである。
また返済額が政府の歳入に占める比率は1999年に14%であったが、2003年度には5%になる。

2)モーリタニアが完了点
 6月20日、モーリタニアが拡大HIPCイニシアティブによる完了点に達した。これで、ウガンダ、ボリビア、モザンビーク、タンザニア、ブルキナファソを含めて、債務元金の削減を受けた国は6カ国になる。モーリタニアの債務削減総額は11億ドルに達した。実質削減は6億2,200万ドルである。1998年の決定点時の年間返済額は8,800万ドルであったが、2003年には3,500万ドルになり、2011年まで、年間3,900万ドルになる。この中には、2国間債務の100%帳消し分も含まれる。

2. ボリビアの水の民営化
 ボリビアの「民主主義センター」から、「ベクテル社が、ボリビア政府に対して、2,500万ドルの損害の訴訟を起こした」という情報が来た。ベクテル社はサンフランシスコに本社を置くエンジニィアリングの多国籍企業で、IMF、世銀の「民営化」政策に乗じて、Cochabambaの水道を買収した。その結果、水道料金が300%高騰した。それが市民の反乱を引き起こした。政府は、水道をCochabambaコミュニティの手に戻した。
 ベクテル社は、これを強制的な国有化であり、NAFTA協定第11条に違反するとして、訴訟をおこしたのであった。

3. エクアドルは石油基金
 IMFは債務危機に陥ったエクアドルに対して2億4,000万ドルの“Standby”融資を約束してから久しいが、今日に至るまで実施を留保している。その理由は、エクアドル政府が、石油パイプラインからの収入を入れる「石油基金」の使途として、保健と教育予算が入っていることにあった。IMFはこの基金から債務返済と財政赤字と自然災害のために緊急支出にだけ使うことを要求していた。
 そこで、ボリビア政府は、基金設立の法律であった「財政責任法」の5ヵ所の修正案を議会に提出した。これはIMFの意向に沿ったものである。ちなみに基金から保健と教育費に廻される分は10%にすぎない。修正案が採択されれば、基金の70%が債務返済に充てられ、20%は緊急支出の予備資金となり、残りの10%は使途不明である。
 このことは、IMFの真の姿を良く表している。