DebtNet通信(vol.2 #50)  
「為替取引税に関するニュース」
2002年8月23日

為替取引き税(トビン税)について

1. 最近のカナダ政府の態度

 カナダ議会は、1999年3月23日、先進国の中では最も早く、為替取引き税(CTTの導入を決議した。そして、カナダ政府は、2000年6月、ジュネーブで開かれた国連社会開発サミット(コペンハーゲン+5)において、CTTの導入を提案した。残念ながら、米国の強い反対の前にカナダ政府代表団は譲歩し、CTTという言葉の記述を取り下げ、「新しい、革新的な資金源」という間接的な表現になってしまった。
 このカナダ政府の態度はモンテレイに国連開発資金会議においてさらに後退した。Lorne Nystrom新民党議員は、カナダのPaul Martin蔵相を、「首相、蔵相を始め自由党を含めた130人の議員の賛成をもってカナダ議会でCTT導入決議そをした、その3周年に当って、自由党政府は早くもこれを裏切っている」と非難した。
 このカナダ政府の後退した態度は、モンテレイにも影響し、ついに、明確なCTT導入決議は、「モンテレイ合意」文書に入れられなかった。

2. 英国のCTTネットワーク

 今年に入って、英国のNGO「War on Want(飢餓に対する闘い)」じは、英国に本拠
を持つ、宗教団体、NGO、慈善団体、労組などに対して、「CTT宣言」に賛同を求めてきた。7月末に、グリンピースが50番目の賛同団体になった。すでに賛同したのは、ActionAid、Christian Aid、地球の友、全国女性団体連合、正義と平和全国ネットワーク、OXFAM、People and Planet、Save the Children、英国運輸労組、TUC,UNISON、国連協会、United Reform Church、World Development Movement、War on Want、WWFなどである。

3. 銀行労組がCTT支持

 ヨーロッパ最大の金融機関労組であるUNIFIがCTT宣言に賛同した。これは、CTTキャンペーンにとって、最大の勝利である。つまり、金融機関の従業員がCTT課税のメリットを見とめたからである。UNIFIは、16万人を擁し、英国が中心である。Ed Sweeney書記長は「これは金融機関のビジネスにとって不利にはならず、しかも何億人もの人々を救うことが出来る」と語った。

4. 今秋、Continuous Linked Settlement(CLS)が設立される。CLSは、銀行が取引きを行う際に、相互に支払い不履行(デフォールト)のリスクをなくすもので、銀行の取引きの安全を改善するために設立される。


 しかし、一方では、これは為替取引きを同時に、しかも一極集中化させることが出来るという点で、CTTの課税に必要なメカニズムが創設されたことになり、CTTの導入を一掃可能にする。
 これをもって、これまでは、CTTが意義のある、重要な問題であったが、ここで、実際に導入可能なものになった。CLSは、CTT課税にとって、安価な、単純な、効果的なメカニズムである。

5. ヨハネスブルグで、世界議員連盟がCTTを支持の予定

 世界議員連盟は、ヨハネスブルグ・サミットで「Save the Earth Summit」と題するイニシアティブを採択する。この中の10の優先項目の中に「トビン税タイプの税を導入することによって、貧困の根源をなくす」がある