DebtNet通信(vol.2 #31)  
「ザンビアのHIPCイニシアティブについて」
2002年8月22日
1.ザンビアのHIPCsイニシアティブ

 ザンビア・ジュビリーは、今春、ワシントンで開かれたIMF、世銀の春季会議で配布された秘密資料「HIPCsイニシアティブの進展報告書」を手に入れた。そのなかに、ザンビアのHIPCsイニシアティブによる債務削減問題に関して、2つの驚くべき事実が明らかになった。

1) 2001年以来、IMFとパリクラブは、ザンビアにの暫定HIPC債務救済措置を停止してきた。理由は、ザンビアが「経済改革プログラムを実施していない」ことにある。
2) 現行の拡大HIPCsイニシアティブの適用を受けた国の中には、対輸出比150%に以下という「債務の持続可能性」に達しいない国が複数ある。

 ザンビア・ジュビリーは、5月3日、ザンビア駐在のMark EllyneIMF代表に会見した。IMF代表は、債務救済が停止されたのではなく、2002年の債務救済が行われていない。これは手続き上の遅れにすぎない」と説明した。
 IMF代表によれば、「決定点(DP)」から「完了点(CP)」の間の暫定期間の債務救済は年ベースで行われ、毎年、債務国は経済計画書を退出し、IMF理事会の承認を受けなければならない.2001年にはザンビアは債務返済分の内、1億5,000万ドルの削減を受けた。今年はまだ経済計画書が出ていないが、「決して、ザンビアが改革を実施していないとみなしていない」と述べた。
 以上のやり取りで明らかになったことは、IMFは、HIPCsイニシアティブによって債務救済措置を受けた場合でも、債務国の“債務の持続可能性”を保証することが出来ず、現行のHIPCsイニシアティブが破産していることを示している。しかし、公式には、これを認めたがらず、「手続き上の遅れ」などといっている。

2.世銀がザンビアにHIV/エイズ融資

 4月28日、世銀とザンビア政府は、HIV/エイズ対策として4,200万ドルの融資協定を結んだ。うち、600万ドルは、抗レトロビラル(ARVs)薬と教育キャンペーンに使われる。注目すべきことは、ザンビアのMwanawasa大統領が、世銀に融資の申請をしたのは、1,900万ドルであり、同時に債務の帳消しを要求したという点である。
 ザンビア・ジュビリーは、ザンビア政府と世銀に対して、「HIV/エイズ対策に世銀の融資を受けるのは、最も危険な道」だと警告した。
 アフリカの多くの国では、HIV/エイズの蔓延に苦しめられているが、これは、経済的、社会的状況のせいであり、これをもたらしたのが債務である。世銀の融資は債務をさらに悪化させる。