DebtNet通信(vol.2 #28)  
「世銀のウガンダ・ダム融資」
2002年8月22日

1. 世銀のウガンダのBujagaliダム融資

 ビクトリア・ナイル川のBujagaliダム建設プロジェクト(200万キロの水力発電所)は、米国のバージニア州に本社があるAES社によって計画された。しかし、あまりにも巨額なプロジェクトのため、建設資金を世銀のような公的融資機関の仰ぐことになった。 
 2001年12月、世銀とアフリカ開発銀行が2億8,000万ドルの融資を承認した。スエーデンのEKNとノルウエイのGIEKという輸出保険機関は、プロジェクトのリスクを保証することに同意したが、ウガンダ政府が債務不履行になることについての、リスク保証は拒否した。米国のOPIC、英国のECGD、ドイツのDEGなど貿易保険機関は、保険供与を取り止めた。その結果、世銀グループのMIGA(多角的投資保証機関)が、プロジェクトの政治的リスクを2億5,000万ドル保証することを決定した。
 2001年7月、Bujagaliプロジェクトのよって影響を受けるウガンダの市民たちが世銀のInspectionパネルに提訴した。2002年5月29日、パネルは調査の報告書を世銀の理事会に提出したが、今日にいたるまで、一般に公表されていない。パネルの報告書には、プロジェクトは、「ウガンダの将来の電力需要に照らして、経済的に実行可能でない」と書いてある。ウガンダのより安価なエネルギー源は地熱発電であると言う。
 ウガンダ政府とAES社とのBujagali発電所との電力買い入れ協定は、年間1億1,000万ドルに上る。この問題について、議会、市民社会との合意が必要である。
 これらパネルが提起した問題点について、世銀幹部から理事会に対する釈明もなされていない。また理事会で、パネル報告書についての議論もない。
 MIGAの理事たちは、パネルの報告書とNGOのアドボカシィによって、動揺しているようだ。イタリア、英国、オランダ、カナダの理事たちは、NGOの声に耳をかたむける用意があるといっている。世銀内部でも動揺が起こっていると言う。
 これを抑えるために、世銀は理事会が出来るだけ早くプロジェクトを承認するように仕組んでいる。
(Bujagaliプロジェクトの詳しい情報はInternational Rivers Network www.irn.org/programs/bujagaliを参照)