DebtNet通信(vol.2 #25)  
「マラウイの旱魃と飢餓」
2002年8月22日
マラウイの旱魃飢餓ととうもろこし売却

 南部アフリカのマラウイでは、旱魃のため300万人が飢餓に直面している。これには、マラウイ政府の高官が、政府の準備穀物を売却したという告訴問題がからまっている。
 マラウイの「反腐敗局(ACB)」は、前農業相Leonard Mangulamaをとうもろこしの売却に関連して、職権乱用と犯罪的放置の容疑で起訴すべきであるという報告書を検察庁に提出した。
 Fahad Assani検察長官は、8月5日、ACBがMangulamaを食糧危機に関連して、300トン、3,800万ドルのとうもろこしの売却に関連しているとして起訴するよう勧告をした、と語った。政府の発表では、食糧不足のため、500人が餓死したという。
 ACBの報告書は、さらに、国家食糧準備庁(NFRA)と国営市場の農業開発市場公社(ADMARC)を、とうもろこしの調達と売却に関連して、管理不全の主犯として名指した。ACB報告書は、さらに、政府が、3,5700万ドルを借り入れ、NFRAの債務返済に充てなければならなかった、と述べている。この債務は、職権乱用と犯罪的放置によって生じたものである。
 Friday Jumbe前ADMARC所長は現在大蔵相、経済計画相を兼任している。彼は、食糧危機の責任を問われており、起訴をまぬがれないであろう。
 ACB報告書は、また、何人かの与野党議員の名もだしている。彼らはNFRAからとうもろこしを購入し、市場に転売した。MangulamaはNFRAからとうもろこしを購入したことを認めてはいるが、自分の主張を聞いてもらえなかったといっている。Bakili Muluzi大統領は、スキャンダルの発覚と同時に、Masngulama農業相を罷免し、Aleke Bandaを任命した。
 ACBの報告書は、マラウイ政府が166,000トンの戦略食糧準備(SGR)から60,000トンを市中銀行から借り入れていた1,300万ドルの債務支払いに、売却しなければならなかった、と述べている。同じ時期、ADMARCが同じSGRから売却したのであった。
 マラウイの食糧危機は、洪水、長期の旱魃によるものであった。しかし、國際食糧政策研究所(IFFPRI―世銀に近い研究所)の報告では西側ドナー、とくにIMF、世銀によって強制された市場に基づく農業改革がマラウイの食糧安全保障を弱体化したという。その誤ったアドバイスは、
政府の役割を減らし、食糧の生産と流通については企業部門にまかせるべきだというのであった。世銀は、農業部門に対する融資を20年前の40%から7%に減らしている。