DebtNet通信(vol.2 #22)  
「ブッシュ政権は事前に9.11を知っていた」
 
「9.11」から1年

1.ブッシュ政権は事前に9.11を知っていた?

 9月11日テロ事件から1年目を迎えようとしている。これまで1年間、9.11をめぐってさまざまな報道があった。9.11事件とは一体何であったのかを考えてみよう。
 今年5〜6月頃の米国の新聞は、しきりに「2001年8月には、すでにCIAは、アルカイダのメンバーが米国内で航空機をハイジャックし、それを武器にしてテロ攻撃をするという情報を掴んでいた」と報道していた。5月28日付けの『ニューヨーク・タイムズ』紙は、「この情報を、2001年8月6日、テキサスの牧場で夏休み中のブッシュ大統領に、CIAがブリーフィングした」、しかし、「通常、このような重大な情報をブリーフィングするのはCIA長官の役目だが、なぜか、下級職員を派遣した。そして、大統領は気にも留めなかった」と書いている。
 同紙は、さらに、6月4日付けで、「CIAは、米国内で、ハイジャック犯人の1人であったアルカイダのメンバーを、事件の1年も前からつきとめていたことを記録した秘密文書を議会に提出した」と報じている。
 これらの報道によって、CIAとブッシュ政権が、事件が起きることを事前に知りながら、何も手を打たなかったことが明らかになった。

2.世界貿易センタービル突入はレーダーの誘導?

 9.11直後から、インターネット上では、この事件がデッチあげだという意見が流布していた。この陰謀説を裏付けるような記事が、今年2月25日、『ニューヨーク・タイムズ』紙に載った。それは、9月11日朝、ハイジャックされた2機が世界貿易センタービルに突入したビデオを、専門家が分析した結果、「最初に北ビルに突入したAA11号機の飛行速度は毎時494マイル、16分後に南ビルに突入したUA175号機は586マイルであった。その結果、南ビルの崩壊が、先に攻撃された北ビルより早かったのだ」と報じた。さらに同紙は、「このスピードでは、ほとんど海抜ゼロ・メートルの飛行は無理だ」と結論づけた。
 ハイジャック犯は、自家用機の運転を教えるマイアミの航空学校を卒業したとされる。しかし、ハイジャックしたのはジャンボ・ジェットであった。明かに、外からレーダーで誘導されなければ、突入は不可能であった。では、誰が誘導したのか?それは謎だ。
 一方、ワシントンのペンタゴンに突入したAA77機はどうしたのか?残念ながら、この事件を撮影したビデオはない。しかし、専門家は、ペンタゴンの1階に突入した点を重視している。なぜなら、ジャンボ・ジェット機が、地上すれすれに飛行するのは、ほとんど不可能であるからだ。インターネット上で飛び交っている情報は、「これは、ミサイルによる攻撃だった」という。では、AA77は何処に行ったのか?そしてミサイルを発射したのは誰か?これも謎である。
 米国では、30年前のケネディ大統領暗殺事件の謎も解明されていない。民主主義の国でありながら、謎の多い国である。9.11も、テロ事件が起こったことは間違いのないところだが、謎に満ちている。
3.9.11で最も得をしたのは、ブッシュ大統領だ
 そもそも、ブッシュ氏は、米国の半分の大統領であった。2001年1月、ブッシュ氏が大統領に就任した時点では、彼は民主党候補のアル・ゴア氏との勝敗を決していなかった。しかし、9.11で、文句なく80%の支持率を集めた。ブッシュ氏にとって、9.11が“神風”であったことは、確かである。
 9.11テロ事件を「戦争だ」と叫び、いち早く、CIAの申し子であったオサマ・ビンラディン氏をテロの主犯と決め付けた。そして「テロの犯人を匿ったタリバン政権も敵だ」として、アフガニスタン戦争を始めた。この時点では、「米国が攻撃されれば、報復戦争をする」戦略であった。テロ事件は戦争ではないし、報復戦争が国際法違反であることは言うまでもない。
 アフガニスタン戦争では、世界一の軍事大国が、世界で最も貧しい国を、最新の兵器と軍事技術でもって、陸、海、空から連日攻撃した。1日の戦費は10億ドル、約1,000億円にのぼった。戦争は長引き、アルカイダのビンラディン氏もタリバンのオマール師も捕まえられないばかりか、消息すら掴めていない。
 アフガニスタン戦争は、イスラエルとパレスチナ紛争を悪化させた。イスラエルのラビン政権を抑えることが出来るのは米国である。しかし、「テロ撲滅」を叫ぶブッシュ政権には、和平のブローカーの資格はない。そればかりか、ブッシュ氏は、「アラファト排除」まで言い出している。これは、アラブ諸国だけでなく、EUとも衝突してしまった。
 そればかりではない。ブッシュ大統領は、今年1月の年頭教書で、「イラク、イラン、北朝鮮を悪の枢軸」と呼び、報復戦争を宣言した。アラブ、EUともに、怒りを表明している。
 さる5月30日、ブッシュ大統領は、ウエストポイント陸軍士官学校の卒業式に臨席して、「新戦略」を発表した。それまでは、「米国がテロ攻撃を受ければ、テロ犯人を匿っている国を攻撃する」という戦略であった。彼は、世界中のテロのネットワークを、「先制攻撃する」新戦略に代えた。そして、彼は、「アルカイダのネットワークは、60カ国に及んでいる」と付け足した。つまり、米国は、世界中で、約3分の1に近い国に対して、「戦争をし掛ける」ことになる。
 最近の米紙の報道によれば、米国は、「25万人の軍隊を送りこみ、陸、海、空から、北、西、南方からイラクに攻め入る準備がととのった」、「まず第1に、バクダッドを爆撃して、サダム・フセイン大統領を殺す」、あるいは、「イランの原発建設が完了し、ウラン燃料がロシアから持ち込まれる前に、空爆で破壊する」などと、勝手なことを言っている。このような、ブッシュ大統領の横暴を許して良いのだろうか?