DebtNet通信(vol.2 #13)  
「国連子ども特別総会」
2002年5月18日
 5月10日、ニューヨークで開かれている国連子ども特別総会において、英国のブラウン蔵相は、「貧困国の債務の重圧をなくするために、先進国はさらに10億ドルを援助すべきである」と演説した。
 ブラウン蔵相は「これまで、IMF・世銀のHIPCsイニシアティブにもとづいて、重債務貧困国26カ国に対して、600億ドルの債務が帳消しになった」と述べた。「我々は、1,000億ドルの債務を帳消しにすることが出来た。(北沢註―この意味は不明)しかし、HIPCsイニシアティブの運用には、より多くの柔軟性が必要だ。したがって、HIPCsイニシアティブの改善のためには、さらに10億ドルが必要だ。これで、非持続可能な債務からの脱却をはかることが出来る」と述べた。
 1996年に、IMF・世銀のHIPCsイニシアティブが発足して以来、ジュビリー2000によって、「債務救済が、あまりにも遅く、あまりにも多くの経済的ハードルを課している」と非難されつづけてきた。
 さらにブラウン蔵相は、150以上の国家首脳が参加して決議をした「ミレニアム開発目標」を達成するために、「毎年、先進国は最貧国に対して、500億ドルの経済援助を行うべきだ」とのべた。彼は、これをグローバル・マーシャル計画(第2次大戦後、米国が西ヨーロッパの復興のために出した援助で、マーシャル国務長官の名を冠した)」と呼んだ。
 「開発援助は、義務教育制度、幼児死亡率の3分の2削減、2015年までに貧困を半分に削減などに使われるべきである。300億ドルはグラントであるべきで、また低利の融資は最貧国に向けられるべきだ」と述べた。
 モンテレイの国連開発資金会議において、米国とヨーロッパは年間120億ドルの援助の増額を公約した。「この120億ドルの増額によって、年間500億ドルの最貧国援助が可能になる。これは2006年からスタートする」と解説した。
 ブラウン蔵相は「途上国はこの援助が有効に、適切に使われることをを保証すべきである。腐敗と闘い、国の安定を維持し、新規の投資が来るように準備しなければならない。援助金と帳消しによる資金は、貧困削減に充てられるべきである」と結んだ。