DebtNet通信(vol.2 #11)  
「カナナスキス・サミットに向けて」
2002年5月18日
 2002年6月26〜28日、G8国の首脳たちは、カナダのカルガリのリゾート地Kananaskisでサミット会議を開催する。これは2001年7がつのジェノバ・サミットでの25万人の抗議デモの再現を避けるために、カルガリの山中に逃げ込んだのであろう。

1)アナーキストたちの計画

カナダの環境団体「Earth First Alert」が昨年末にインターネットに流したもの。
 カナダの反グローバリゼーション派はDeconstructionist Institute for Surreal Topology(DIST−超現実的風土誌研究解体者研究所という意味不明な組織)に委託して、「直接抗議行動」の可能性を調べさせた。DISTの専門家が何回も現地に足を運んで調査した結果、昨年末に、暫定報告が出た。
 「KananaskisがG8サミットの開催地に選ばれた理由は、僻地のリゾート地であることと、アクセスは1本の道路しかなく、容易に遮断できるからである。しかしそれは逆に、開催地が僻地であり、デモ側もまた、容易に遮断できるということをカナダ首相は忘れている。場所はヒッピィ、警察の言うクラッピィ(汚いやつ)にとって理想的である。完全武装した警官が深い森の中を行進する様子を想像してみたまえ。ベトナムと同じだ」とのべた。その提案は以下のような内容であった。
J26:
 DISTが提案した計画は、サミットの抗議デモのハイライトとして、6月26日(J26)を設定する。ここでのデモの人数はあまり多くないほうが良い。

6月1日;
3人のHuggers(抱きつく者?)チームが交代で、Kananaskisに通じる道路を遮断する。原始の森では大勢の警官を送り込めない。1本の道路は“ロビン・フッド”戦術には理想的である。封鎖して、逃げる。車両のタイヤをはずす。それは長い道路なので、完全に守るのは不可能だ。要するに、会議の準備と治安設備の建設を妨害することだ。
6月7日;
Kananaskisの周囲に、テント村を設営する。音楽、ワークショップ、食べ物、ヌードのヒッピィなどの大レジスタンス・フェスティバルを開く。
6月10日:
会議場に通じるハイウエイに臨界的な大乗り物デモを行う。マウンテェン・バイクを集めることが鍵となる。道路を遮断できれば、アナーキストがその周囲をバイクで駆け巡る。
6月13日;
Affinityグループ(アナーキストの新しいネットワークのあり方を指す―大きな目的を1つにするグループ集団のこと)や絶望組の混合体がゾーンに侵入し、前哨点を作る。ビデオカメラを据え、警官の暴力に対処する。離れ離れにならない。巨大な“かくれんぼ”をしていると思わせろ。Ewoks(映画「スターウォ―ズ」のなかの登場人物?)の戦術を使え。最大の慎重さで最大の妨害を行う。アナーキストーヒッピィは木に登ろう。彼らはザイルの使い方を知っている。彼らは山で、きのこを食べて生きていける。
6月22日;
テント村はそろそろと会議場に移動する。抗議する人びとは警官より早く道路を遮断する。遮断し、隠れ、逃げ、再結集する。十分な人数がいれば、テント村を守ることも可能だ。
6月25日;
遅れて到着した人びとは、ゾーン内をハイキングする。ザイルを忘れないこと。ハイキング道で交通渋滞を起こすな。「ブラックブロック」(最も過激なアナーキスト集団)の“マクドナルド襲撃”に気を付けろ。ザイル使いがうまい奴が勝利するだろう。
6月26日;
サミットはキャンセルされる。それはあまりにも多くの“くそ”Ewoksのせいだ。

2)カナダ先住民との交渉が難航 4月30日発

G8サミットに抗議デモのグループは、Kananaskisリゾート地でのG8サミット会議場近くのテント村建設のために、土地を借りる契約書に署名した。しかし、その後、現地の先住民政治のために契約が宙に浮いている。
というのは、この地域に住んでいるのは、3,500人の人口を持つStoney First民族だが、その1員であるゴミ収集業を営むHarild Simeonは、以前彼の家族の土地を西部劇映画の撮影に貸したことがあり、今回も、デモ派との間で、7,000ドルで土地を貸す契約を結んだ。
しかし、Stoney First 民族評議会のHomer Holloway会長は、「デモ隊に土地を貸してはならない」として、この契約を妨害しようとした。彼はカルガリの西85キロのところに住んでいる。彼は、「土地を貸すには民族評議会の決議が必要だ。もし勝手に貸したら罰金を払わねばならない」と言った。彼は、Stoneyの土地で、デモ隊と警官の暴力事件が起こるのを懸念している。
Simeonの土地はKananaskisの北25キロのところにあり、彼の家族の土地を貸す権利があると主張している。しかし、反グロ^バリゼーション派は、民族評議会の決議がなければ、160ヘクタールにのぼる8日間の「連帯村」の建設はしないと言っている。
「Canadian Labour Congress(カナダ労働会議)」のMike Desautelsは、「先住民のコミュニティが反対しているならば、場所を使わない」と言った。
「連帯村」建設については、カナダの労組、環境保護運動、社会運動などが、すでに何カ月に亘って、協議を続けてきた。その中には、Council of Canadians、Alberta Federation of Labour、Alberta Council for Global Cooperationなどが入っている。
一方、Stoney]First民族評議会の方も、連邦政府に対して、土地を貸す権利を認めるよう交渉している。また、同時にStonneyの土地が侵食されているので、境界線を明確化するために資金を要求している。その根拠として、サミットのために、カルガリ市の治安対策費として、4,000万ドルを連邦政府が供与したことを挙げている。