DebtNet通信 (vol.1 #55)  
オタワでのIMF・世銀の20カ国合同会議の報告
2001年12月24日


1) 11月16〜18日、オタワ、IMF・世銀20カ国合同会議

9月29〜30日、ワシントンで予定されていた合同年次総会が、9月11日事件でキャンセルになり、その代替として、急遽カナダのオタワで、主要先進国20カ国のIMF・世銀合同会議を開きました。ここでは、

@ 依然として、拡大HIPCsイニシアティブを中債務最貧国の債務救済のメカニズムとして堅持する。
A しかし、すでに削減交渉を受けた国は、「完了点」に達するよう支援する。とくに、
この間、外的な要員で条件をみたすことができなくなった国には、資金援助をおこなう。また、世界経済が後退し、貿易の条件が悪化していることもあり、「完了点」に達した場合、その国の「債務の持続可能性」について再検討する。
B 先進国が「ミレニアム開発ゴール(2015年までに貧困を半減する)」を達成する
よう債務削減と開発援助に努力する。
C 先進国は、2国間の債務帳消しについての公約を実施する。
D 英国にイニシアティブにより、一次産品の国際価格の下落により、HIPCs国だけでなく、すべての一次産品の輸出に依存している低開発国、さらにIDAオンリーの国に対しても債務削減を考慮すべきである。HIPCsのリストはオープンである。

1) アルゼンチン債務危機について、IMF専務理事代理の発言

アルゼンチンは、インドネシア、トルコと並んで、債務危機トリオとよばれていたが、アルゼンチンは、暴動、戒厳令、大統領辞任、デフォールト宣言(債務返済の停止)にまで至った。ここにきて、アルゼンチンの債務危機の原因がIMF、米国にあるという人びとに非難に、ラテン・アメリカ政府、EU政府なども加わり始めた。

オタワ会議において、IMFの専務理事代理のAnn Kruegerが、債務帳消しのメカニズムとして、かねてからJubilee 2000がキャンペーンしてきた「FTAP」を支持する非公式発言を行った。Krueger女史のメカニズムとは;

@ 深刻な債務危機に陥った国は、IMFに対して、一定期間「一方的な債務支払い停止を
宣言する許可を申請する。
A この停止期間に、債務国は、IMFの技術的な支援を受けて、債権者との国際法廷を準
備する。これが失敗した場合、IMF自身がフレームワークを作る。
 この法廷は、参加しない「ならず者の債権者」についても法的拘束力を持つ。
B この措置を受けた国は、資本の規制管理を行う。
 FTAPを推進してきたドイツJubilee 2000は、IMFは有力な債権者であり、このようなFTAPのメカニズムを作る立場にない、とAnn Krueger提案に反対している。またこの提案には「貧困削減」という目的が抜けている、と非難している。
C 以上の欠陥はあるにしても、債権者が、これまでの債務問題の諸措置がもはや機能しないことを認めたという点で前進である、とドイツJubilee 2000は評価している。

2) 日本が、IMFのPRGFに10億ドルを拠出

IMFが低開発国に構造調整プログラムを押し付けるときの武器であったESAFはPRGF(貧困削減成長ファシリティ)と改名された。日本政府が、オタワ会議への手土産として、11月12日、PRGFに10億ドルを拠出すると発表して。日本の拠出によって、IMFはPRGFについてミニマムの無利子の融資活動が可能となった。これまで9カ国が拠出を公約しており、52億ドルにのぼる。

3) フランス議会が「通貨取引税」の導入を決議

11月21日、フランス国会は、「通貨取引税(CTT)」、いわゆるトビン税の導入を決議した。これは、ATTACの運動の成果であり、大ヒットである。