DebtNet通信 (vol.1 #53)  
ダーバンの国連反差別会議
2001年9月20日

ダーバン、国連反差別会議について

9月はじめ、南アフリカのダーバンで開かれた国連反差別世界会議においては、DebtNetの皆様に、奴隷貿易の賠償金の支配方法として、アフリカの債務の帳消しという宣言草案に対して、日本政府代表団に「反対しないように」Faxを送るようこのMLでよびかけた。

以下は、9月8日、ダーバンで採択された宣言文中、奴隷貿易に関するパラグラフ

奴隷問題について

「我われは、奴隷と大西洋を超えたものを含む奴隷貿易が、ひどいバーバリズムのみならず、その規模、組織的性格、とくに犠牲者の人格の否定という意味において、人類史上、すさまじい悲劇であったことを認め、また奴隷と奴隷貿易が人類にたいする犯罪である、ことを認める。そしてとくに大西洋を超えた奴隷貿易が人種主義、人種差別、外国人嫌い、それらに関連した非寛容の主要な根源であり、表現であることを認める。アフリカ人、アフリカ人の子孫、アジア人、アジア人の子孫、先住民は、このような行為の犠牲者であり、またそれがもたらしたものの犠牲者であることを認める」

賠償と行動計画について

「世界会議は、奴隷、奴隷貿易、太平洋を超えた奴隷貿易、アパルトヘイト、植民地主義、大量虐殺によってもたらされた幾百万もの男、女、子どもの大量の人間的苦悩と悲劇的な窮状を確認し、また深く遺憾(regret)とし、関連国が、過去の犠牲者の記憶を尊重するよう呼びかけ、さらに、いかなる時でも、いかなる所でもこのようなことが起これば、糾弾し、それが2度とおこらないように防止することを確認する」

「世界会議は、このような政治的、社会経済的、文化的な慣習と構造が、人種主義、人種差別、外国人嫌い、それらに関連した非寛容にいたることを遺憾とする」

「世界会議は、これらの歴史的不正義が、世界の各地、とくに途上国に多くの人びとに及ぼしている貧困、低開発、周辺化、社会的疎外、経済的格差、不安定、非安全保障を作り出していることを認める」

「世界会議は、以下にのべる分野において、連帯と相互尊重の精神にもとづいて、これら社会と離散の民の社会的、経済的発展のためのプログラムを策定する必要を認める;
債務救済、貧困根絶、民主機構の創設、または強化、外国直接投資の促進、市場へのアクセスなど、、、」

これで明かなように、「遺憾とする」、「認める」など、草案に比べてトーンがはるかに下がっている。また賠償支払いについても、「アフリカの債務の帳消し、または大部分の削減」といった表現も消え、プログラム実施の資金の一部になっている。会議が南アフリカで開かれたにもかかわらず、NGOが政府間会議の傍聴することさえ、ほとんど制限されたし、南アフリカがアフリカ政府の声を強く代表することもなかった。