DebtNet通信 (vol.1 #39)  
国連開発金融会議と為替取引税
2001年8月13日


為替取引き税(CTT、いわゆるトビン税)について

1) 米国、オニール長官の言
為替取引き税(CTT)とは、1日2兆ドルと言われる為替取引きに対して、各国が為替取引きに0.1%の税をかけようというものである。その目的は、為替取引き総額の92.5%を占める為替投機行為を抑制し、同時に国内の社会保障と途上国への開発援助(GDPの0.7%という目標を達成)に充てる、というものである。

CTTの導入については、カナダ、フィンランド、ノルウエー政府をはじめ、EU議会にも議案が提出されており、さらに途上国政府も賛成にまわるなど、1997年のアジア通貨金融危機以来、動きがみられる。しかし、米国では、議会が「国連でCTTについて議論されるならば、米国は国連に対するすべての拠出金をストップする」といった、過激な反対決議が採択した。その結果、国連の会議に出席するすべての米代表は、国連決議にCTTの文字が記載されることに、激しく反対してきた。とくに、ウオール街の利益代表である財務省はCTT導入反対の牙城であった。

7月、ローマで開かれたG7蔵相会議において、CTTについて議論があった。その時の記者会見で、、オニール米財務長官は、「CTTについては、否決されたが、決議には、G7蔵相の中の1人がCTTを提案しないかぎり、(CTTについて)議題に取り上げない」と答えた。つまり、G7の中で、今後CTT導入を強く推す国が出てくれば、米国も議論することに反対をしない、ということを意味している。ごく僅かな前進と言える。

2) 国連金融と開発会議について
債務帳消し、ODAの0.7%、CTTなど、途上国の開発のための資金問題が議論される「国連金融と開発会議(FFD)」は、2002年3月、メキシコで開かれる。10月15〜19日、ニューヨークの国連本部で、第2回準備会議が開かれる。

国連は、FFDに向けて、ハイレベルのパネルを設けた。その議長には元メキシコ大統領のErnesto Zedilloが就任した。

6月末、パネルの勧告書が発表された。その主な内容は以下の通り;

―ODAをGDPの0.7%にする、及び国際的に合意した、2015年までに貧困を半分にするという「ミレにアム・ゴール」について、グローバル・キャンペーンを開始する
―「経済安全保障理事会」を設立するために、国連が「グローバル経済ガバナンス・サミット」を開催する
―2001年11月、カタールのWTO閣僚会議において、多国間貿易交渉による「開発ラウンド」を開始する
―低開発国(LDC)のために、多国間の「一次産品のリスク管理スキーム」を設立する
―これまでの開発援助を、「共通のプール」に自発的に移して行き、受け取り国が決める開発戦略に資金が出されるようにする
―適切な課税対象の設定を追求し、「Global Public Goods(GPGs、地球公共財)のために支出する。
―いわゆるトビン税のフィージビリティと効果についてさらに研究する
―温室効果ガスを減らし、収入を増加させるために、炭素税の導入を考慮する
―国連の環境諸機関を「グローバル環境機構」に統合する
―ILOとその労働基準の執行能力を強化させる
―「国際税機構」を創設する
この報告書の全文は:www.un.org/reports/financing