DebtNet通信 (vol.1 #38)  
アフリカのエイズ関連のニュース
2001年8月13日


エイズ関連のニュース

1) ウガンダの大臣が国連エイズ基金の議長に任命

8月1日、アナン国連事務総長は、ウガンダのCrispus Kiyonga前保健大蔵大臣を「グローバル・エイズ保健基金(エイズ基金)」の暫定作業グループの議長に任命した。

Kiyongaは、ウガンダの現無任所大臣であり、ムセベニ大統領の政治顧問だが、国際的に、エイズ、マラリア、結核対策のチャンピオンとして、知られている。

「エイズ基金」は12月に発足する。これまで、14億ドルの出資の公約がある。アナン事務総長は、2005年までに、70〜100億ドルが必要だといている。

2) ケニアでエイズの特別委員会設置
8月1日、ケニアのAmos Wako検事総長は、エイズ関連の法律を検討する特別委員会を設置した。11人のメンバーで、ナイロビの弁護士Ambrose Rachierが任命された。この委員会は、HIV/エイズ対策を検討し、法律改正を勧告する。

3) エチオピアでエイズのデモ
8月5日、エチオピアのアジズアベバで、、エイズ孤児を含めた数千人が、政府に対して、安いエイズ治療薬の輸入を要求するデモを行った。エチオピア6,000万人の人口のうち、300万人がHIVに感染しており、毎日、700人がエイズで死んでいる。両親をエイズで亡くした「エイズ孤児」は90万人にのぼる。

デモは、南アフリカとケニアにならって、政府が安いコピー薬を輸入、製造を許可する法律を制定することを要求した。

このデモを組織したのは、HIV感染者によって組織された「Dawn of Hope」である。

4) 米国対ブラジルのエイズ薬をめぐる紛争終わる
米国は、ブラジルが安いエイズ製造を許可した法律を制定したことに対して、ジュネーブのWTOに提訴していた。6月25日、米国政府は提訴を取り下げた。ブラジルの通商代表Graca Limaは「特許法について両国が見解の一致を見た」と語った。

米国の通商代表Robert Zoellickは「提訴は、エイズ薬をめぐってではなく、特許一般であった」と弁解した。

ブラジルは、法律はWTOの規則に抵触していない、と主張していた。

5) AFL・CIOがエイズについて決議
8月1日、米国最大の労組AFL・CIOは、シカゴで中央執行委員会を開き、エイズ問題について決議を採択した。

その決議の抄訳は以下の通り;

AFL・CIOは、HIV/AIDS、その他の感染性疫病対策として「グローバル・エイズ保健基金」の創設を呼びかけたアナン事務総長の提案を支持する。

この基金は70〜100億ドルの資金を必要としているが、これは、世界の年間軍事費の1%である。基金の運用は透明で、需要に対して緊急に、柔軟に対処できるもので、そして、市民社会とエイズ患者の代表を含むガバナンスが確立されなければならない。
エイズ対策は、期間を設定したものでなければならない。

資金を供与するに当たっては、政府を通じたものに限らず、労組やコミュニティの支援組織など民間団体に資金が供与されるようなチャネルを設けるべきである。

WTOのルールは、特許保有者の権利が保護されており、HIV/AIDSのような公的な保健の危機に対処することが出来ない。政府が、HIV/AIDSの治療と予防計画の一環としてエイズ治療薬の並行輸入と製造ライセンスを行うことが出来るように、WTOのルールを改正すべきである。

途上国は、自由にエイズ治療薬を供給する必要があるばかりでなく、より良い治療を行うための資金を必要としている。米国を含めて豊かな国が、GDPの0.7%を援助にという目標を達成すべきである。さらにIMF・世銀は、自身の資金を使って、破壊的な構造調整という条件を付けることなく、最貧国の多国間債務を100%帳消しにすべきである。帳消しによって浮いた資金は、透明な方法で、保健と教育サービスと開発投資に向けられるべきである。