DebtNet通信 (vol.1 #33)  
ローマG7蔵相会議の報告
2001年7月14日


G7蔵相ローマ会議の決議

7月7日、G7蔵相会議がローマで開かれた。これはジェノバ・サミットの露払いの性格をもっており、G7首脳に向けて報告書を作成した。サミットでは、これを下敷きにして、サミット声明が作成される。

内容は、A. まえがき

B. 危機の防止と解決に民間セクターを関与させること
C. 監視及び国際「水準と規範」の実施
D. 資本市場へのアクセスを開く
E. 多国間開発銀行(世銀など)

の5章からなり、44のパラグラフにわたっている。

以上のことからも、債務救済問題については一言も触れていない。さる1月、イタリア政府がジェノバ・サミットに向けたイニシアティブとして、『債務を超えて』を出した。これは、ケルン・サミットの公約により、HIPCsの2国間債務を帳消しにする、2000年末までにHIPCsのなかの22カ国(その後1国が追加)の債務返済額を平均30%削減したことをもって、債務問題は終わったとし、ジェノバ・サミットでは債務以外の問題(貿易の自由化など)を取り上げようというものであった。

したがって、ジェノバ・サミットにおいても、債務救済について、これまで以上の政策が打ち出されるという見込みはなくなった。

報告書に5つの章の構成に明らかなように、途上国を襲っている通貨・金融危機の発生を防止するかについては、アジア危機においてIMFの失敗が明らかであるにもかかわらず、むしろ、IMFの機能を強化する。途上国にたいしては、国際水準と規範を金融制度に押し付ける、解決にあたっては、民間金融機関を関与させる、ことを強調している。アジア危機の原因とされているIMFの金融の自由化政策については、「適切なペースと時期を選んで」進めるという表現をもって、自由化推進を標榜している。

世銀については、貧困削減をその主な任務とし、世銀の「包括的開発枠組み(CDF)」、「貧困削減戦略ペーパー」、「国別開発戦略」、「エイズなどグローバルな課題」に対する世銀の融資など一連の世銀の政策を承認している。