DebtNet通信 (vol.1 #19)  
IMFがガーナを脅迫
アルゼンチンの債務危機
2001年4月19日


1)英国Jubilee Plusより

Ann Pettiforさんが代表であるJubilee Plusが、昨日、新しいホーム・ページを開設したという知らせがあった。以前のJubilee2000ukと同じ形式。
<http://www.jubileeplus.org>

(1)IMFがガーナを脅迫
ガーナは政権が交代した。前Jerry Rawlings大尉大統領時代に、日本政府が5,000万ドルの円借款をえさに脅したため、HIPCsを辞退していた。しかしKufuor新大統領は、政策を変え、HIPCsイニシアティブを申請した。

ガーナは1983年以来、2000年6月まで、18年間も忠実にIMFの構造調整政策を実施してきた。2000年6月には、貧困削減戦略ペーパーを作成した、IMFの承認を得ている。その結果、IMFより1億2,500〜1億7,500万ドルの債務削減が約束されていた。

にもかかわらず、このほどIMFは更なる条件をつけて、削減の実施を延ばそうとしている。ガーナは金融危機に見舞われており、巨額の財政赤字を出している。4月末のIMF・世銀の春季会議に向けて、各国の理事に圧力をかけるべきである。

(2)アルゼンチンの債務危機
3月20日、アルゼンチンの新たに任命されたばかりのLopez Murphy蔵相(前国防大臣)が突然辞任した。彼は、シカゴ大の卒業で、IMFと世銀のコンサルタントをしていた。Murphy蔵相は、大幅な20億ドルの支出削減を打出したばかりであった。大学の予算は、3億6,000万ドル削減、地方政府は9億7,000万ドルの削減となる。また、今年の分だけで220億ドルにも上る債務返済を行うと公約した。これは、2000年12月、IMFがアルゼンチンに400億ドルの救済融資を約束したときの条件であった。

Murphyの緊縮政策に対して、労働総同盟はゼネストを打ち出し、3人の大臣が抗議の辞職をした。大学は学生によって占拠された。

Murphyに代わって新たに蔵相に任命されたDomingo Cavalloは、の軍政時代の1982年に中央銀行総裁であった。Cavalloは就任に当って、IMFに従わないと公約した。その代わり、ブッシュ大統領と直接交渉するといった。予算の削減を行わないと公約した。

アルゼンチンは、1,230億ドルという巨額の債務を抱えている。このうち、400億ドルは、独裁政権時代のものであり。60億ドルは、Petroleum Estate社の幽霊債務である。2000年7月、Alejandro Olmos氏の告訴に対して、アルゼンチン高裁は、これらの債務は不法であるという判決を下した。

アルゼンチンは、年間220億ドルもの債務返済をしなければならない。この額は、年間輸出がくの58%にのぼっている。

(3)パキスタンのルピー危機
パキスタンの通貨のルピーは、4月はじめに史上最低を記録した。これはIMFが5億9,600万ドルのスタンバイ融資のうち、1億3,300万ドル分を供与したばかりのことであった。つまりIMF救済融資に対して、通貨市場は何の効果もなかった。2000年7月以来、ルピーは17%下落した。これは、債務返済を危なくすると予測される。

パキスタン軍政は、公務員を35,000〜40,000人解雇すると発表した。これは、公務員総数の15%にあたる。

(4)途上国6カ国の債務危機
アルゼンチンとトルコの債務危機は、すでに政治危機に発展している。
IMFは2000年12月、トルコに対して110億ドルの救済融資を約束した。しかし、トルコの銀行危機を救うには、250億ドルが必要とされる。

これに加えて、インドネシア、ウクライナ、ナイジェリア、パキスタンが、4カ国総額で1,500億ドルの年間債務返済が不可能になっている。うち民間債務分は270億ドルである。

これは、1997〜8年のタイ、インドネシア、韓国を襲った通貨金融危機に匹敵する。

これら6カ国は、軍政、独裁政治、社会不安、民族紛争などに見舞われており、政治危機に発展している。しかもアジア危機のようなIMFの全面的支援がなく、また投資資金は、米国の国債買いに集中している。また、米国をはじめ、世界経済が下落傾向にある。

これら6カ国は、途上国のなかでも、新興市場国と呼ばれ、地政学的にも重要な国々である。この6カ国を救うためには、IMFは2,000億ドルの救済融資をしなければならないという。

2)エイズ関連のニュース

(1)アフリカの署名
4月24〜27日、ナイジェリアのアブジャで開かれるアフリカ統一機構(OAU)の首脳会議に対して、沖縄のジュビリー2000国際会議に出席した、ナイジェリアのDavid UgolorがHIV/AIDSに関してNGO声明文そ起草し、署名を募っている。

アフリカの首脳に対して;
―HIV/AIDSと闘うために保健予算を増やすこと
―国内、グローバル・レベルで製薬会社に反対行動を行う
―世銀のHIV/AIDS融資を拒否すること
国際世論に対して;
―HIV/AIDSなどの疫病との闘いを支持すること
―アフリカの債務を帳消しにすること
―アフリカに対する援助を増やすこと
―HIV/AIDSの治療薬をアフリカ人に無料にすること
―治療薬の研究開発に取り組んでいる機関に対するグラント援助を行うこと
メールアドレス<aneej2000@yahoo.co.uk>

(2)米議会の決議草案
グローバル・エイズ同盟(GAA)の名誉会長である米国のBarabara Lee下院議員が、Maxine Waters議員と共同で、4月25日付けで、「HIV/AIDSに対応するための債務帳消し法案」を提出する。2人とも民主党カルフォルニア州選出の女性議員である。

その内容は;
―IMF・世銀に対して、HIPCsの多国間債務を100%帳消しにすることを要求する。
―また、IDAのソフトローン対象国、または感染率が3%以上の国も債務帳消しの対象国とすべきである
―債務帳消しで浮いた資金をHIV/AIDS対策に充てることを促進する

(3)世銀がカリブ海諸国にエイズ対策融資
4月21日、世銀は、カリブ海諸国に対して、HIV/AIDS対策に、1億5,000万ドルの融資を行うことを発表した。この地域はサハラ以南アフリカに次ぐ世界最高の感染率である。

世銀はこれまで、56カ国において、HIV/AIDS関連の99件のプロジェクトに対して、総額10億ドルの融資を行ってきたと世銀は言う。その中でも最大はブラジルである。世銀は、1992年以来、ブラジルに3億2,500万ドルを融資している。