DebtNet通信 (vol.1 #18)  
「IMF・世銀春季会議に向けて」その2
2001年4月19日


IMF・世銀の春季会議に向けた取組み

1)米国の「Jubilee USA Network」より

Jubilee2000を改組し、3月に新たに発足した米国の「ジュビリー米国ネットワーク」は、ワシントンで4月30日より始まるIM・世銀の春季会議に向けて、4月25日、ブッシュ大統領に対する10,000人の電話作戦を呼びかけている。電話が不通の場合は、ファックスで。大統領に対する要請項目は;

(1)アフリカは、HIV/AIDSやその他の疫病危機によって破壊されている。にも関わらず多くの国が医療予算より多くを債務返済に充てなければならない。

(2)大統領が、IMF・世銀にアフリカの債務を100%帳消しさせるよう要請する。この場合、納税者の金を使うのでなく、IMF・世銀自身の資金で帳消しすべきである。帳消しによって浮いた資金をプライマリー・ヘルスケアと初等教育にまわすことが出来る。

(3)昨年米議会がIMF・世銀の「受益者負担政策」を廃止ぶることを決めた法案を採択したが、大統領はこれを尊重すべきである。

(4)同様の電話を、O'Neill財務長官、Powell国務長官にかけること。

2)英国ブラウン蔵相の声明

英国のブラウン蔵相は、IMF・世銀の最高政策決定機関である「国際通貨・金融委員会」の議長であるが、4月16日、『ガーディアン』紙によれば、IMF・世銀が、HIPCsの債務を100%帳消しにせよと言う債務キャンペーンの要求を拒否した。彼は、これ以上の削減は、IMF・世銀の業務に支障をきたすので、出来ない、と言った。

「バングラデシュのような貧困国は世銀の融資を必要としているので、世銀は同国の債務を帳消しすれば、融資する資金が枯渇する」と、『オブザーバー』紙のインタービューに答えた。英国Jubilee2000は、これまで帳消しの対象国であったHIPCs41カ国に、バングラデシュやナイジュエリアを10カ国を加えてキャンペーンを行ってきた。キャンペーンによれば、100%の帳消しには、更に70億ドルの資金が要るという。

債務キャンペーンとは別に、一方では、「IMF・世銀を解体しろ」、というキャンペーンがある。これに対して、ブラウン蔵相は、「グローバル化した経済に対する対応するには、より多くの相互協力と、国際金融機関のより多くの関与が必要である。したがって、解体するのは、間違っている」とロイター通信に語った。

4月16日の『フィアナンシャル・タイムズ』紙によれば、ブラウン蔵相は、春季会議では、両機関の規約改正とグローバル貿易問題に焦点を当てると言った。

NGOのBretton Woods CommitteeのRodgers代表は、IMF・世銀の力をよわめようとする「リベラル寄りの債務キャンペーン派と米議会の保守派との非神聖同盟」という非難が広がっており、IMF・世銀を解体しろという勢力が台頭していることに触れ、後者を批判した。彼は、米議会の保守派でさえ、今日、最貧国の経済・保健状況のひどさと、これらの国に対する投資が全くないという事実を認識し始め、国際金融機関の存在意義を再認識している、と語った。

北沢の感想;

以上のニュースは、Global Aids Allianceから届いたものです。今日では、債務帳消しの情報は、エイズ・キャンペーンにより、これでは実質的にジュビリーにとって代わっています。