長崎県教育委員会からの回答

                             2000年6日22日

    

 県教委からの回答は、質問部分だけでした。事前に18日に回答期限より遅れて6月22日に文書で回答を渡したいむねの連絡があり、当日は8名程度で受け取りにいきました。当方からの回答受け取りへの対応は学校教育課長が説明にあたり、担当者と思われる方がときにコメント。他に指導監と幾人かの課員と思われる人が同席されました。
 文書でいただいた回答についは、わかりやすいように当方の質問項目を(   )で入れておきました。また後半部分に受けとりの際の若干20分程度でしたが、質疑応答ができました。その時のメモを一部再構成して掲載しています。当日参加者のメモで、個人名などは省略していますし、このメモは私的な記録という性格のもので、文責は当方にあります。


                                                                
                         平成13年6月22日
ながさき・子どもと教科書ネット21準備会 代表 
長崎県歴史教育者協議会   会長         様
日本科学者会議長崎支部 代表幹事              

                                    
                   
長崎県教育庁学校教育課長 (課長印)

            教科書採択に関する質問に対する回答

 平成13年6月12日付けで提出された標記のことについて.下記のとおり回答します。
                    記
1について
(教科書採択方法の変更に当たって、長崎県教育委員会は各市町村教育委員会にどの ような指導を行ったのでしょうか。特に強調された点や通知については、詳細に明ら かにしてください。)

 各市町村教育委員会に対し、主に専門的な教科書研究の充実,適正かつ公正な採択 の確保、開かれた採択の推進の3点について指導した。

2について
(教科書採択手続きに関わる制度上の変更について、規則その他の変更を伴うものは 、その内容を明らかにしてください。)

 教科書採択事務手続きは、「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」 等に基づいて行っており、制度上の変更はない。

3について
(行政解釈によれば教科書の採択権は、「地方教育行政の組織および運営に関する法律」第23条6号および「教科書の発行に関する臨時措置法」第7条第1項を理由に、教育委員会にあるとされています。「新しい歴史教科書をつくる会」は、その解釈を援用し、教科書の採択から現場の教師を排除することを求めています。しかし、「地教行法」の当該規定には教科書の取り扱いに関する教育委員会の「事務」が定められ、また「臨時措置法」には教科書需要数の報告義務が定められているのみであり、これらを根拠に「教育委員会の教科書採択権」を主張することには、明確な法的根拠はないというのが、教育法学における通説です。教科書の選定は、各学校の教育課程編成および教師の授業内容編成に深く関わる事柄です。教育条理から考えて、教材である教科書の選定権は、教育の内的事項として、現場の教職員の意見がとりいれられるべきであり、教師の教育権に属すると解するのが妥当です。したがって、「新しい歴史教科書をつくる会」の、教育委員がすべての教科のすべての教科書の採択を決定すべきだという主張は、教育の条理を理解しない一方的な見解であると考えられます。「現場の教師には教科書を選ぶ権限がない」と断定している「新しい歴史教科書をつくる会」の主張についての、長崎県教育委員会の見解と根拠を示してください。)

 公立学校で使用される教科雷の採択の権限は「地方教育行政の組織及び運営に関す る法律」第23条第6号の規定により、所管の教育委員会に属することが、行政実例と して示されている。
 (昭35.5.11 委初第109号文部省初等中等教育局長回答)

4について
(教科書の採択に当たって、各学校の一人ひとりの教員の意見を反映させる仕組みは 、現在どうなっているのでしょうか。あるとすれば、どのような仕組みになっている のでしょうか。また、小規模地区あるいは学校単位の採択制度に移行していく考えは あるのでしょうか。)

 適正かつ公正な採択を確保するうえで、教職員の意見を参考にずることも大切であ ると通知した。
 採択地区の小規模化については、国の動向を見守りながら対処したい。

5について
(保護者、地域住民の意見を反映させる仕組みはあるのでしょうか。あるとすればど うなっているのでしょうか。今年から、教科書採択に保護者の代表が加えられた地区 があると聞きますが、教科書の採択に関わる委員の人選について、公正が保たれてい るかどうか、チェックする機能は、用意されているのでしょうか。また展示された教 科書をみて、市民が意見を言う機会や仕組みがあるのでしょうか。)

 本年度から,すべての採択地区の協議会に保護者代表等を加えることにより,より広 い視野からの意見が反映されるとともに,適正かつ公正な採択が確保されるよう指導 した。

6について
(「新しい歴史教科書をつくる会」は、関係者が執筆した『国民の歴史』『国民の 油断』などの書籍を、各地の教育委員や学校・教師などに大量に無料送付しています。 教科書採択の公正確保に関する重大な問題だと思われますが、長崎県においても、そ のようなことがあったのでしょうか。その実態を調査して公表してください。)

「国民の油断」については,県教育長の自宅あてに送付されたのは確認できた。。

7について
(私立学校の教科書採択について、今年度から教科書採択の理由について、「いつ尋 ねられても明確に答えられるように文章化するように」と指示があったということで すが、それはどのような理由によるものですか。長崎県教育委員会の意図を明らかに してください。)

 教科書採択の透明性を確保する観点から,市町村教育委員会と同じく採択権者であ る私立学校に対しても,「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」第1 0条に基づき、同様の指導を行った。






  6月22日の長崎県教育委員会からの回答の際の質疑応答の記録メモ

(参加者のメモに若干の追記をした。Q が質問、A が答え ( )は解説のようなもの、[    ] はその後の補足)


<課長のご説明>
  前置き:立場上特定の教科書会社の件については、言及できない。
  回答1:公正確保のため会議録の公開をするようにした
 (当初、平成13年4月27日の県教育委員会教育長の各市町村教育委員会教育長宛ての通知「教科書採択方法の改善について」には触れられなかった)。
  回答2:読みあげたのみ。
  回答3:つくる会のことには触れず。
  回答4:教科書選定委員会などのメンバーに教員を入れている。4月20日の国の通知[[文部科学省か、詳細は不明]に従った。採択地区の小規模化について国がいってるのは、市・郡レベルであって、学校単位は考えていない。国に従う。
  回答5:今まで保護者代表が協議会に加わっていなかった地区もあるので、今年は、すべての地区で保護者に入ってもらうようになった。
  回答6:県教育長以外の人にはプライバシーに関わるので調査していない。
  回答7:読みあげたのみ。

<質疑>
Q:今回の指導は、平成2年3月20日の文部省初等中等教育局長の各都道府県教育委員会教育長宛ての通知「教科書採択の在り方の改善について」に基づいて行なわれたというが、その後、平成8年12月16日の行政改革委員会の「規制緩和の推進に関する意見(第2次)――創意で造る新たな日本――」をもとに採択地域の小規模化と採択時における現場教師の声の反映をいっそう促す平成9年9月11日の同局長の各都道府県教育委員会教育長宛ての通知「教科書採択の改善について」と、どちらが優先するのか。新しい方ではないのか。

A:平成2年の上記通知が徹底してないということで、平成9年に再び国から上記通知が来た。そこで、それに基づいた指導をした。

Q:絞り込みをしないというが、選定委員会・協議会のレベルでもしないのか。
A:教育委員会レベルまでいっさいしない。
 
Q:制度上の変更に関して、地理・歴史・公民の教科書を別会社で採択してもよいという指導は、なぜ今年から行なわれているのか。
A:前から三点をセットで、という指定はしていない。[これは事実と異なる]


Q:情報公開するというが、審議会委員の氏名なども公開するのか。
A:採択後に公開する。

Q:保護者代表を増やしたのはなぜか。
A:増やすよう指導したわけではなく、いなかったところに保護者代表を入れるよう指導した。

Q:つくる会の市販本については問題ないのか。なんらかのペナルティーということは考えられるか。
A:公正取引については、罰則規定がなく対処できない。ただし、献本の事実があればペナルティーはある。


Q:長崎県教育委員会の平成13年の上記通知では、「教職員の意見を参考とすることは大切であるが、教職員の投票によって採択教科書が決定されることのないよう……」とあり、これは、教師はずしとも読める。文部省の平成2年の上記通知では、そこまで言ってない。「責任が不明確になることがないよう」というのではないか。
A:長崎県では教職員の投票は行なわれていない。
 [では、何で県教委がこんな通知出すのか、わからない]


Q:かつては教職員の声を聞いていたのが今年から、聞かれないようになったというように感じている。絞り込みがないとしたら、教育委員会が勝手に選ぶということもあり得るのではないか。誰が採択するのか、わからない。国の政策にも重大な責任がある。今までの採択がどうだったのか。
A:今までは情報公開がなく不透明だった。国からは平成2年の上記通知が生かされていないという通知があった。


Q: 保護者代表が入るからと言って公正が確保されるとはいえない。採択された教科書に不満があるときはどこにいうのか。
A:当該地区の教育委員会に。

<終わり>
Q: 回答の「そっけなさ」に不満を訴え、再質問もあり得ることを告げる。

A:課長 これ以上聞かれても、これ以上は答えられない。


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