東電と共に脱原発をめざす会」
質問書
     2022年10月4日に提出した質問書
3.11事故が起こる前から隔月で開催されている
「東電と共に脱原発をめざす会」
に私も数年前から参加。
遅まきながら順次公開する(できれば過去にも遡って)

<私の質問書(10月21日)>
2022年8/30対話会向け事前質問
東京電力HD(株)立地地域部原子力センター 渡井様     2022年10月21日 木村雅英

東電福島第一原発(イチエフ)事故後11年7カ月。福島は全く終わっていません。ウクライナ戦争下のチェルノブイリ・ザポリージャ原発の状況を見ても、福島県民や国民の不安は募るばかり。事故を経験し現状を目の当たりにしている東京電力が、トラブルを起こし続けながら未だに原発推進することに憤りを覚えます。皆さんが注力するべきことは福島第一原発です。
地球上の総ての生き物に傲慢でない施策を東電に求めます。納得できる回答をお願いします。質問1 【全般】 皆さんの受けとめ
 8月30日会合を受けて感じたことを以下に再掲します。
・東電の原発推進政策会社としても社員一人ひとりとしても「コメントは差し控え」られ残念です。
何度もいいます『あれはあれ、これはこれ」は成り立ちません。
今の東電福島第一原発をよそに柏崎刈羽原発再稼働は許されません。
・放射能汚染の影響ストロンチウム、トリチウムの年間放出量を回答いただきましたが、セシウムが不検出ゆえ実質ゼロは納得できません。11年間の総放出量を年間ベースで分かりやすく説明する資料を紹介してほしい。
・イチエフ中長期ロードマップ 政府廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議が昨年4月
以来1年半開催されていません。ALPS処理水の処分の同会議は
4回も開催しているのに。
廃炉作業も頓挫している今、ロードマップ見直しが急務です。
・イチエフ汚染水対策希釈も拡散も解決にならない、地元漁協との約束を無視してIAEA・規制委頼みの「海洋放出」計画と工事強行に怒りを覚えます。
・地下水流入対策汚染水「放出」よりも優先して取り組んでいただきたい。
・イチエフ事故責任「3つの誓い」「7つの約束」を守ってほしい。
東電株主訴訟の「13兆円余の賠償命令」を東電は重く受けとめるべき。
・イチエフ事故原因追求 原因追及は道中半、11年経って事故調査委員会の立上げが必要。
・柏崎刈羽原発「一連の不適切な事案」が続いている。原発を断念する勇気を持って。
・被ばく労働について何度も言います、個人情報保護口実の被曝隠蔽をしないで。
・東電のコンプライアンス 東電は率先して原発をやめて再生可能エネルギーに専念すべき。

質問1ー1 私たちの東電への怒りを何度も書いています。しっかり受け止めて、東電の経営方針に生かしていただきたい。何か改善されたことがあれば教えてください。
 以下は、前回までのご回答を受けて及び最近の動きからの質問です。
質問2 【東電の原発推進政策】 事故直後と、その後の11年間と今
 前回にお答え頂けなかった部分を踏まえ、新たにお聞きします。
質問2−1 「最悪のシナリオ」(近藤駿介)について、前々回は「使用済燃料プールの対応は、燃料が露出・溶融に至った場合、周辺に及ぼす影響は甚大で、災害規模がさらに拡大する可能性がありました」と回答され、前回は「3月25日時点では、災害規模の拡大を防止していたと認識」と回答されました。
 今のイチエフで「最悪のシナリオ」が起こることはありえませんか?
質問2−2 ウクライナにおける原子力発電所の危機は続いており、南ウクライナ原発でも攻撃を受け原子炉から300m先に着弾、ザポリージャ原発の所長がロシア兵に拉致された、などより危険な状況になっています。
 国が外交上・防衛上の観点から対処する、常時テロ攻撃を想定して警察庁および海上保安庁とも連携、と回答されました。
 この様に危険な施設を持たないことを消費者が願うと考えますが如何ですか? また、ウクライナ同様に外交・防衛上のトラブルで大事故が起こった場合の東電の責任はどうなるのですか?
質問2−3 日本原電の東海第二の為の資金支援について 東京電力からの2019年秋の日本原子力発電への2200億円の資金支援について、<東海第二への資金的協力については、日本原電から受けた受電条件の提案を含めた資金的協力の依頼の内容を精査し、経済性に加え、地元のご理解や避難計画策定に向けた取組の進捗状況、安全性向上対策への取組の進捗状況などを総合的に確認して判断>と回答されました。
 どの様な事態になれば資金支援打ち切り、返還要求しますか?

質問3 【放射能汚染の影響】
質問3ー1  イチエフ放射能汚染の実体
 前回も毎月の放出量結果のURLを教えていただきましたが、各年の気体・液体・固体の年間推定放出量を明示していただけませんか? 
 また、前前回のご回答「海に排水している地下水バイパス及びサブドレン他の浄化水に含まれる放射性物質としては、セシウムは測定結果は不検出(ND)が続いており、放出量としては0(ゼロ)としております。」に対して、前回「実際の海への放出量をゼロと断定できる根拠を再度説明してください。」の質問に「海に排水している地下水バイパス及びサブドレン他の浄化水に含まれる放射性物質としては、セシウムは測定結果は不検出(ND)が続いており、放出量としては実質0(ゼロ)と扱っております。」との回答でした。
 年間の排水量はどれだけですか? セシウム測定の検出限界値はいくらですか? 本当にセシウム放出量を「実質0」と扱っていいのですか?
質問3ー2  東電処理水安全アピール実演について 10月3日の東京新聞の一面の記事<東電処理水安全アピール実演、「印象操作」批判免れず、トリチウム検知できない線量計、セシウム高濃度でないと無反応>に驚きました。
 この記事についての見解と説明をお尋ねします。


質問4 【イチエフ中長期ロードマップと実施計画】
 ロードマップ見直しの必要性を主張してきましが政府の「政府の廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」にて見直しされるとの回答。同会議の開催履歴を見ると、ロードマップの議論は第4回(2019年末)までで、第5回では汚染水問題だけが議論されています。
 そろそろ第6回で本年末にでも開催してロードマップを見直すのではありませんか?
 その為に東電は「廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(案)」を策定中ではありませんか?
そうであればその案の概略をお教え願います。
 予定引き延ばしばかりの真実味の無いロードマップでなく、専門家も「国民」も誰もが理解し納得できる案を策定願います。

質問5 【イチエフ汚染水対策】 汚染水海洋投棄(「海洋放出」)計画
前回のご回答に追加質問します。
質問5−1 福島港内の海底土の汚染状況をどう把握しているかについて、一例として2月15日の審査会合のスライド33を紹介されました。次の図です。
 できれば過去10年の海底土の濃度の推移を教えてください。
 2021年2月に試験操業で水揚げしたクロソイ(新地町沖8・8キロ、水深24メートルで捕獲)から、食品衛生法が定める基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える500ベクレルの放射性セシウムを検出しました。「海洋放出」で一層心配になる気持ちを理解できますか?

質問5−2 世界三大漁場のひとつである北西太平洋漁場への影響をどう予測しているのですか?に対して、拡散シミュレーションの結果に言及されましたが、計算領域が狭い(490km四方)、30年以「放出」し続けた場合の非定常のシミュレーションができていない、生物濃縮を考慮していない、などとてもこれで安全と言えないと考えます。如何ですか?
質問5−3 漁協は今も反対しています。了解を得るまで「海洋放出」しないと言いながら着々と準備を進めることは、漁業関係者など約束をした相手に対してあまりに不誠実ではないですか?
質問5−4 了解が得られない場合を想定して、次の策を準備するべきではないですか?
質問5−5 計画どおり「海洋放出」をする場合に、約1000個のタンクがどの様に推移するのか、ポータルサイトのあるいは「タンク内ALPS処理水等およびストロンチウム処理水の貯蔵量」がどの様に変化するのかを明示してください。毎日140立法メートルの汚染水が貯まる中で、一日に処理できる汚染水の量を仮定すれば、すぐに出るのではありませんか? 「海洋放出」の不確かさがあれば、いくつか場合分けして示してください。例えば、希釈前の汚染水(処理水)の放出量が日量140立法メートルであれば、今のタンク数がずっと維持されることになりますね。
 前回の質問でも回答いただけませんでしたが、これだけ多くの人々が反対している中で、もしこのタンク推移予想図ができれば「海洋放出」への理解を増やす可能性もあるのではありませんか? それともそれを明らかにできない理由があるのですか?

質問6 【地下水流入対策】 
 2025年までに約100m3/日にまで抑制するべくご努力されると理解しました。
質問6ー1 ご回答のとおり、2022年6月30日時点のALPS処理水等貯蔵量が、今示されて
いますが、前回の3月31日現在の値と比較してみました。
 (2022年6月30日現在) 1,282,900m3
(2022年3月31日現在)  1,266,400m3
(両者の差) 16,500m3/4-6月 = 5500m3/月 = 183m3/日
両者の差が3カ月間の貯蔵量の増加ですが、日量140m3に減っているとはとても言えない数字になります。私の試算に間違いがあればご指摘願います。 それとも、4−6月は梅雨で流入推量が多かったのでしょうか?
 前回の回答、2020年度140m3、2021年度130m3の根拠データを示してください。
 また、できれば、過去11年間の貯蔵量の推移を教えてください。

質問7 【イチエフ事故責任】
<「3つの誓い」、「7つの約束」、「福島原発告訴団」裁判、あらかぶ裁判、多数の損害賠償裁判などから、前前前回のご回答「当社が行ってきた原子力安全改革の原点に立ち返り、何が不足していたのか、何が間違っていたのか、途中で劣化していたのか等、徹底的に調査し、対策を講じることで、自律的に改善できる組織に生まれ変わることが重要であると考えております。」を信じることができません。会社として態度で示してください。>を再掲します。
質問7ー1 イチエフ事故対策費用が当初5兆円から22兆円と約4倍に達したことについて「東電改革提言で示された金額は、当社が行った見積もりではなく、確たることは申し上げられません」と再度の回答。「世界にも前例のない困難な作業」であることは理解できますが、なぜこれだけの見積もりミスが起こったのかを国と東電で確認するのは当然だと思います。その確認が今後の施策に生きるはずです。そういった議論をどこかでやっていないのですか?

質問8 【イチエフ事故原因追求】
質問8ー1 「福島原子力事故発生後の詳細な進展メカニズムに関する未確認・未解明事項の調査・検討結果」取りまとめの予定をお教え願います。次回(第6回)はいつ公表されるのでしょうか?

質問9 【柏崎刈羽原発について】
質問9ー1 「核物質防護違反」の他ゆえ「現時点では再稼働時期を申し上げる段階にはない」とのご回答でした。その後岸田政権が「GX実行会議」後に原発再稼働に前向きの姿勢を示しましが、東電にも6,7号機の再稼働を期待する声が首相官邸や資源エネルギー庁から来ていますか?
質問9−2 9月14日の原子力規制委員会定例会議で「議題3 東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所に対する今後の追加検査における確認方針」が了承されました。
どの様に受け止められましたか?

質問10 【イチエフの耐震について】
 日本列島に大きな地震が起こる度に、近くの原発が大丈夫か?、特に稼働している原発は?、と心配している一方、事故後の収束・廃炉作業が全くうまく行っていない東電福島第一原発(イチエフ)はどうなんだろうと心配していました。汚染水「海洋放出」も許されないが放射性廃棄物の塊であるイチエフが再び事故を起こしたら大変です。
現実に、福島事故対策検討会の森重晴雄さんが衝撃的なレポートを出しました。以下のことを確認させてください。
質問10ー1 イチエフの各施設の耐震性をどの様に確認しているのですか? 震度はいくらまでなら耐えられると判断しているのですか?
質問10−2 1号機の圧力容器/格納容器に耐震偽装の疑いがかけられています。特に、「東電の評価は、せん断のみを抜き出して健全と評価しているが、曲げ(転倒)を過少評価している。」の指摘についてはどう回答されますか?
質問10−3 ペデスタルの損傷が非常に厳しく、今後の地震で原子炉倒壊の可能性がある様に見えます。東電の見解をお聞かせ願います。
質問10−4 労働者及び周辺住民への被害が心配です。その備えは大丈夫ですか? 
また、前述の近藤駿介「最悪シナリオ」(半径250km・5千万人避難)以上の事態が起こる可能性はありませんか?

質問11 【東電のコンプライアンス、原発やめて再生可能エネルギーを】
質問11ー1 何度も言います。東京電力グループ<長期的な安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた事業構造変革について>(2022年4月28日)を読んで、一層東電がいち早く原子力から撤退することを切に希望します。そしてイチエフの廃炉、汚染水対策には丁寧に対応していただきたいです。ご回答を期待します。

質問11−2 第六次エネルギー基本計画の本文に次の記載があります。
<依然として、原子力発電に対する不安感などにより社会的な信頼は十分に獲得されておらず、また東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護に関する一連の事案など、国民の信頼を損なうような事案も発生するとともに、使用済燃料対策、核燃料サイクル、最終処分、廃炉など様々な課題が存在しており、こうした課題への対応が必要である。>
 東電はこの記述をどう受けとめましたか? 再生可能エネルギーに注力すべきではありませんか?
以上