原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その234 2020年10月31日
政府の「海洋放出」決定をがむしゃらに後押しする更田原子力規制委員長〜
「処理済水」、「環境影響考えられない」、「他の原子力施設からも海洋放出」の嘘
 10月27日に政府が「海洋放出」決定かと報じられている中で、唯一の
規制機関のはずの原子力規制委員会の更田委員長が露骨に「海洋放出」
を是認することにあきれた。

 10月21日(水)の記者会見で海洋放出の妥当性を問われた更田委員長の
答弁をご覧いただきたい。

 <科学的な意味において処理済水を海洋に放出すること、これは規制
基準を守る上で実施される以上は、環境であるとかあるいは海洋での
産物に影響が出るとは到底考えられない。告示濃度制限そのものが、
非常に保守的に定められている上に、主な核種であるトリチウムに
ついては、これは除去することが技術的に不可能な核種であるだけに、
その他の原子力施設からも海洋に放出されているものであって、実績も
あるという点で、科学的な意味において悪い影響が出るとは考えられな
いし、これはもう定着した科学的な判断であろうというふうに思ってい
ます。…処理済水の処分を進めなかったら廃炉全体が更に長期間に
わたることは明白>

 もっともらしく聞こえるが、本シリーズ「原子力規制委員会は原発
再稼働推進委員会」をご覧いただいていた方々は騙されないと思う。
 心配なのは一般の記者たちやその報道を見る人たちが騙されないか
ということだ。念のために反論を示しておく。

○海洋での産物に影響あり
 今でも、福島及び近郊の海でセシウム137など高濃度が観測され、
特に海底土の汚染が著しく高い(10km沖で1400Bq/kgなど、相馬港
や小名浜港でも)。ここに大量の汚染水を数十年も続けて流し続ければ
海水も海底土も更に汚染される。
○トリチウムに海洋放出の悪い実績あり
 確かに悪影響ありの実績がある。ドイツのKiKK調査報告、カナダ
のピッカリング町の新生児死亡率、玄海原発と白血病、泊村周辺地域の
がん多発、などなど多くの影響報告がある。
○告示濃度制限が保守的とは言えない
 告示濃度自体が、例えば処理困難なトリチウムが高いなど処理可能性
を考慮してALARA原則で定められている。
 また、「海洋放出」ではトリチウム以外の他核種も排出する。とても
保守的とは言えない。
○科学的な意味において悪い影響が出る
 トリチウムの内部被曝の影響、DNAの損傷、染色体異常、ベータ線
と人体化学結合のエネルギー差、などなど多くの科学的論文がある。
何故これらを無視するのか。
○廃炉を口実に「海洋放出」は詭弁
 廃炉の姿は不明、廃炉工程は極論すればこの9年でデブリを撮影
できただけ、ロードマップの「30年〜40年」は不可能で、エネ庁担当も
経産相も「目標」と言い訳。こんないい加減な廃炉を口実に海を汚し
続けてはいけない。
○タンク保管するべき
 イチエフ(福島第一原発)敷地の北側、イチエフ周辺、ニエフ(福島
第二原発)、などなどタンク保管の敷地はある。
 トリチウムの半減期は12.3年で放射能は下がるはず。
 それにしても、田中前委員長も更田現委員長も、この128万立方mにも
及ぶトリチウムと多核種で汚染された水を「処理済水」と読んで
「海洋放出」という名の海洋投棄を主張するとは驚きだ。
 原子力規制委員会が原子力マフィア・原子力ムラの強力メンバーで
あることの証明だ。