原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その229 2020年7月30日
運転停止期間を運転期間から除外する秘策で「40年運転ルール」を形骸化するな
〜ATENAとの意見交換会で老朽原発の運転延長を支援する再稼働推進委員会〜
◎7月22日の原子力規制委員会定例会議の議題3「経年劣化管理に
係るATENAとの実務レベルの技術的意見交換会の結果」で、原子力
規制庁がATENA(原子力エネルギー協議会)と今年に入って6回も
意見交換会を開催(5回はウエブ会議)し、原子炉が長期停止期間中に
劣化が進展しないことを確認したと発表した。老朽原発運転延長を画策
する原子力事業者たちと一緒になって、40年運転ルールと「例外中の
例外」20年期間延長の弾力運用・形骸化を画策しているのだ。


◎ 原子力規制庁側16名、原子力事業者側40名(ATENA8名、電力
会社21名、メーカー11名)が参加した意見交換会では、「原子炉圧力
容器」、「原子炉格納容器」、「コンクリート構造物」について、長期
停止期間中は劣化の進展を考慮しなくてよい事象と停止中でも劣化が
進展する事象が存在することを確認。
 また、設計の経年化管理(設計の古さ問題)、製造中止品の管理、
重大事故環境下におけるケーブルの絶縁特性、中性子照射がコンク
リートの強度に及ぼす影響、についても言及。
 会議では、山中委員が「しごく最もな結論」と評価し、更田委員長
が、中性子照射による脆化が原子炉停止中に起こらないことを確認し、
今回の報告を委員会の見解としてまとめるように指示した。
 一見、「科学的・技術的」な意見交換でいいじゃないかと見過ごす
人が居るかも知れない。
 しかし、この原子力規制委員会の対応は非常に危険だ。
 原子力事業者側に立って運転期間延長に加担しているのだ。

◎ 原子炉の運転期間(とその延長規定)は民主党政権時に立法府が
老朽原発の危険性を重視して定めた。原子力事業者はそれをすり抜けて
できるだけ長く運転したいと炉規法の改訂までも視野に画策している。
 それに対して、原子力規制委員会が、停止中であれば劣化が進展
しない事象があることを認めお墨付きを与えようとしている。

◎ そればかりではない。既存の日本の老朽原発は、中性子脆化問題も
その危険性と誤った評価(井野博満さん指摘)など問題が解決しない
ままであり、またコアキャッチャーや受動的安全装置などの新たな機能
が装備されていないし、経年劣化が心配なケーブルなどの膨大な数と量
の部品でできている。
 今回は、それらについて「科学的・技術的」にきっちりと見直す
議論をした訳ではなく、事業者側・メーカー側の言い分を聞いただけ。

◎ 原子力規制委員会は、営業運転開始後既に40年以上経過した高浜・
美浜・東海第二の「例外中の例外」運転期間延長を特急不当審査で容認
しておきながら、更に電力事業者と一緒になって老朽原発再稼働を容認
する「政治的」画策をしているのだ。