原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その227 2020年6月30日
破綻した「核燃料サイクル」先延ばし「乾式貯蔵」を容認するな!
〜トラブル続き四国電力にヒノマル原発「乾式貯蔵」を認めると40年後にどうなる?〜
 6月24日の規制委定例会議の議題1「四国電力株式会社伊方発電所
3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査の結果の案の
取りまとめについて(案)−使用済燃料乾式貯蔵施設の設置−」で、
規制委は四国電力が提案した使用済燃料「乾式貯蔵」施設設置を認める
ことを確認し、初の乾式貯蔵なのでとパブリックコメント募集を
開始した。
https://www.nsr.go.jp/procedure/public_comment/20200625_01.html
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198020203&Mode=0
 パブコメタイトルには「乾式貯蔵」を入れず、六ヶ所再処理パブコメ
の折と同様に、四国電力の最終補正資料がどこにあるかも分からない
非常に不親切なパブコメ案内だ。
 しかし騙されてては行けない。この四電3号炉設置変更許可申請は、
日本式乾式貯蔵を認めるかどうかの重要な審査だ。
 6月24日の定例会議資料をご覧いただきたい。
資料1「…取りまとめについて(案)−使用済燃料乾式貯蔵施設の設置−」
https://www.nsr.go.jp/data/000315508.pdf 
の前半に乾式貯蔵の説明が図示されている。

あるいは、四国電力のHPには次の資料が掲示されている。
「伊方発電所での使用済燃料の貯蔵について」
https://www.yonden.co.jp/assets/pdf/corporate/yonden/brochure/index/spent_fuel_dry.pdf#search='四電+乾式貯蔵'

 この四国電力が提案した「乾式貯蔵」には次の問題がある。

○田中前規制委員長でさえ「核燃料サイクルは破綻している」と明言
しているにもかかわらず、この「乾式貯蔵」施設は「青森県六ヶ所村
再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に貯蔵する施設」(四電資料)
で、核燃料サイクルを前提としている。

○キャスクは外径2.6m、質量120トンで米国製(外径3.6m、質量180
トン)より痩せぎすで、遮蔽体が薄く中性子遮へい能力を欠如している
可能性がある。

○中性子遮蔽にエポキシ樹脂を使用している為に、運用開始40年後に
極めて深刻な事態になり、50年後には遮蔽能力の欠如したキャスクを
抱えて右往左往することになる。

○伊方1・2号炉の廃炉を口実にしているがプールを存続させれば、
四電があわてて高価で危険な乾式貯蔵をする必要はない。
 以上は、牧田寛さん「乾式貯蔵技術を米国とはまったくの別物に
変えたヒノマル原発産業の宿痾(ハーバー・ビジネス・オンライン)」
 https://hbol.jp/189183/5
による。同書は長沢啓行さんの指摘も引用している。

 一方、四国電力の頻繁なトラブルは誰でも覚えている。昨年から今年
にかけてトラブルが無い月があったっけという程だ。
 四電のHPにもトップ画面に「伊方発電所での連続トラブルについて」
(https://www.yonden.co.jp/publish/page_12.html)が掲載されて
いる程だ。

 このように弛みきった四国電力に規制委が大好きな「安全文化」が
あるのだろうか?
 こんな会社の設置変更許可「乾式貯蔵」を認めること自体が原子力
規制委員会のいい加減さを示している。

 いずれにしても、再稼働の前に「核のゴミ」問題を論じるべきと日本
学術会議が原子力委員会に提言した(2012年9月)にもかかわらず、
それを全く無視して、原発再稼働・プルサーマル発電復活・破綻した
「核燃料サイクル」推進方針維持・有害で危険な六ヶ所再処理施設の
稼働目論み、などなど「はちゃめちゃ」な原発推進政策を続ける
経産省・電事連・各電力会社。
 彼ら原子力ムラの求めに応じて、このように愚かな日本式
「乾式貯蔵」をひそかにパブコメをかけて容認・推進しようとする
原子力規制委員会。まさに再稼働推進委員会だ。非難の意見を出そう。