原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その226 2020年6月16日
「福島:日本は核廃棄物処理に関する人権上の義務を無視してはならない」
〜国連人権理事会からの声明を「個人の意見」として回答しない更田規制委員長〜
 国連が、福島原発から出る汚染水の海洋放出をめぐり、日本に決定の
先延ばしを要請した。これに関して6月10日の更田委員長記者会見から
次をご覧いただきたい。

○記者(読売新聞):国連の特別報告者が9日に処理水の処分決定に
ついてコロナ収束後まで遅らせるように勧めた声明を出しています。
コロナ禍の中で、政府がプロセスを加速させているということにも懸念
は示しているのですが、関係省庁としてどのように受け止めていらっ
しゃるのか、ちょっとお伺いできればと思います。
○更田委員長:非常に縮めて素っ気なく言ってしまうと、個人の御意見
にコメントしないという答えになってしまうのですけども、国連報告者
というのは、国連の意見を代表しているわけではなくて、個人の立場で
調査をしたりして国連に対して物を言うことができるという立場ですの
で、その声明といわれるものは個人の御意見なのですよね。
ですので、基本的に、特別な例を除いて個人の御意見に対して申し上げ
るコメントはないというのが答えになります。

 日本軍の慰安婦制度に関して国連のクマラスワミ報告書(1994年)や
マクドゥーガル報告書(1998年)に対して、日本政府が「個人報告書
にすぎず、受け入れられない」と回答した。

 更田委員長の回答は政府のこの対応と全く同じで、国連人権理事会の
特別手続として特別報告者が出した声明に対して、ずっと以前から希釈
して海に流せと主張してきた委員長が何も回答しないのはおかしい。
 「人と環境を守ることが使命」のはずの原子力規制委員会が、
「何ものにもとらわれず、科学的・技術的な見地から、独立して意思
決定を行う。」との活動原則に反して、「政治的」に発言しているのだ。

 世界の原子力ロビーが支配するIAEAやICRPやUNSCEAR
(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)を後ろ盾に行動して
おきながら、同じ国連の専門家4名の日本政府への要請を「個人意見」
と退けているのだ。
 田中前委員長も更田現委員長も、イチエフに100万立方メートル以上も
貯まった他核種付きトリチウム等放射能汚染水(ALPS処理水)を
海に流せと、早くから発言してきたのだからもはや驚くことでは
全くないが。

 国連の特別報告書は次である。
◎Fukushima: Japan must not ignore human rights obligations on
nuclear waste disposal ? UN experts
福島:日本は核廃棄物処理に関する人権上の義務を無視してはならない-
国連専門家4人の特別報告者(Baskut Tuncak 有害廃棄物特別報告者、
Michael FAKHRI 食糧の権利特別報告者、Clement Nyaletsossi VOULE
平和的集会・結社特別報告者、Jose Francisco Cali TZAY 先住民の権利
特別報告者)による報告書<(機械翻訳から一部のみ)
 ジュネーブ(2020年6月9日)-国連の人権専門家は本日、福島第一原発
の原子炉から出る核廃棄物の海洋投棄に関するいかなる決定も、
COVID-19の危機が過ぎ適切な国際協議が開催できるようになるまで
延期するよう日本政府に要請した。…>
 詳細は次に。
https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=25940&LangID=E
 なお、外務省が6月12日に次の見解を発表した。
◎国連特別報告者4名からの情報提供要請に対する回答
(東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水)
令和2年6月12日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page4_005162.html