原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その220 2020年3月31日
原子力規制委員会はプルサーマル発電を止めるべき
〜「新規制基準」は「プルサーマル発電の危険性」を見逃しているぞ!〜
 プルサーマル発電の危険性と規制委の審査の重要性を高浜を例に
「その149」(2017年11月10日)で述べた。しかしながら、その後も
原子力規制委員会は次々にプルサーマル発電をも容認する合格を
出している。
 プルサーマルに係る原子炉設置変更許可を取得したプラントは、
泊3、女川3、柏崎刈羽3、高浜3−4、浜岡4、島根2、伊方3、
玄海3(電事連から)。
 そのうち8基が新規制基準適合性に係る審査申請を行っており、
既に高浜3,4号と伊方3号と玄海3号が適合性審査に合格し稼働を
容認されている。
 しかしながら、例えば玄海3号炉の審査について原子力規制庁は
「MOX燃料使用を前提に審査している」と回答するのみで、膨大な
審査書(3MB)の中に「プルサーマル」も「MOX燃料」も一言も
出てこない。要するにMOX燃料装荷の影響評価を全くしていないの
ではないか。

 プルサーマル発電の危険性は誰もが知っている。
(1)ウラン燃料の為の原子炉でプルトニウムを燃やすことはより
危険、灯油のストーブでガソリンを燃やすのと同じ
(2)MOX燃料の放出放射能がウラン燃料より非常に高い:
α(アルファ)線約15万倍、中性子線約1万倍、
γ(ガンマ)線約20倍(広瀬隆)
(3)使用済MOX燃料の発熱量が高く300年以上冷やし続けないと
いけない、300年もの冷却を誰が保障するのか?
(4)使用済MOX燃料の再処理はできない、六ヶ所再処理施設が
24回の延期後未だに稼働の目途が立っていない、更に使用済MOX
燃料の再処理の計画は今は全く無い
(5)MOX燃料の健全性の確認が必要:一次冷却剤をサンプリング
してヨウ素濃度の監視を強化
(6)MOX燃料の溶融点が2720度Cと低く(ウラン2790度C)
ペレットが溶ける可能性増大
(7)MOX燃料はアルファ線や中性子線,ガンマ線など放出し
労働者に被曝させる
(8)MOX燃料を使用すると制御棒の効きが悪い:プルトニウムは
ウランよりも中性子を吸収しやすいので,制御棒の効きが悪くなる
(9)ひとたび事故が起こると被害が膨大:東電福島第一原発事故に
おいてもプルサーマル発電をしていた3号機で大爆発が起こった、
MOX燃料使用の影響の可能性があるにもかかわらず調査結果は公表
されていない、核爆発との説もある

 この様に見てくると「新規制基準」には非常に重要な欠陥があった。
 原子力規制委員会が福島第一原発事故の検証もせず既存原発を早急に
稼働させる為に策定した欠陥だらけの「新規制基準」に、プルサーマル
発電と使用済MOX燃料の危険性について何ら考慮せず避けている
というもう一つ重大な欠陥があったのだ。
 分離プルトニウムを減じる為の愚かな国策を電力会社に押し付ける
経産省もひどいが、危険なプルサーマル発電をまともに審査せずに
容認する原子力規制委員会はよりひどい。