原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その218 2020年2月26日
女川回答拒否、特重曖昧、老朽延長、バックフィットひとつ、新検査制度事業者任せ
〜 院内ヒアリング集会(1月24日)の回答を振り返る〜
 1月24日(金)午後の院内ヒアリング集会「女川2号炉の再稼働審査
などを問う!〜被災原発を動かす必要はない、特重・バックフィット・
新検査制度はどうなる?〜」で、原子力規制庁が女川審査の回答を
拒み、終了時に要求した文書回答も無いまま、2月26日(水)には
議題1で女川2号炉「設置変更許可」合格を決めるつもりだ。
 (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/010000503.html)
 回答できないにもかかわらず女川合格とする原子力規制委員会は
あまりにひどい。ここでは、他の質疑応答で得られた問題を紹介する。


1.営業運転開始45年後の老朽原発の再稼働容認
(1)再稼働原発の状況
 稼働中6基:大飯3,4、玄海3,4 川内1,2
 停止中3基:高浜3,4、伊方3
 廃炉計画済:女川1、伊方2、玄海2(審査中)
(2)運転期間延長許可原発の状況
  10年以上止まっている老朽45年経過原発を再稼働させるつもり!

 高浜1、2号:保安規定変更認可審査中、特重完成予定2020年6月
 美浜3号:保安規定変更認可審査中、特重完成予定2021年3月
 東海第二:保安規定補正申請待ち中、特重完成予定2023年10月
 各老朽原発の稼働開始年月は次だ。
 高浜1号1974年11月、高浜2号1975年11月、
 美浜3号1976年12月、東海第二1978年11月。
 どれも満40年を迎える前に運転延長を認めた。ところが、実際に
再稼働するまでに計約45年経過することになる。

2.特重があっても稼働は危険、特重無しはもっと危険!
 30分程の質疑応答は結構面白い議論になった。
 なぜ特重無しの稼働を容認しているのか? 今、稼働している状態が
最も危険ではないか? 特重は非公開が多すぎではないか? 本体と
特重を結びつけた稼働テストをどうやってやるのか? などなどの
多くの質問に原子力規制庁の担当が代わる代わる頑張って回答したが、
疑問が増えるばかりで誰も納得できなかった。

 規制庁から、既存原発を審査する為の「新規制基準」との説明(
要するに、既存原発が達成できる基準しか盛り込んでいない)も出て、
それゆえ合格しても稼働が危険であることを再確認でき、さらに特定
重大事故等対処施設があっても無くても原発稼働は危険!であることが
明らかになった。

3.バックフィットは「震源を特定せず」のみで他は検討中
 時間切れで回答のみを聞いた。バックフィット運用規定(2015年)
があるが、今バックフィットが確定しているのは「震源を特定せず」の
基準地震動のみとの回答。
 大山火山の火山灰対応の毎日新聞指摘には、平成30年12月6日の会合
はブレーンストーミングだと矛盾だらけの言い訳をした。
 多くの新知見が得られているにも拘らずバックフィットは電力会社の
顔色を見て延ばし延ばしにしているのではないか。

4.本年4月に「柔軟性のある」新検査制度導入で検査は
電力会社任せ!
 質問回答のみでも次のことが明らかになった。
 本年4月1日に導入する。2016年IRRSミッション(IAEAに
よる総合規制評価サービス)の勧告を受け「柔軟性のある」新検査
制度を導入。
 事業者が安全確保の検査に一義的責任。一回の運転期間に変更無し。
点検に要する期間は事業者が判断・決定。確率的リスク評価
(PRA)のガイドを規制委で作成中。
 それにしても、事業者任せの「柔軟性のある」新検査制度で稼働を
どれだけ甘くするのか心配だ。しっかりとチェックしないといけない。
 なお、この院内ヒアリング集会の動画は次にアップされている。
【動画】https://www.youtube.com/watch?v=3cJStRrY29s