原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その217 2020年2月3日
福島第一原発放射能汚染水(ALPS処理水)はトリチウム以外の核種も基準超え
〜規制委員長はトリチウムも他核種も海に流せと言うのか!〜
◎ 資源エネルギー庁が1月31日(金)に開催した有識者による
「第17回多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」で、
「現実的な選択肢」として「海洋放出」と「(蒸発させ)大気放出」の
2案を提言する報告書を大筋で了承した。
 風評被害と地元理解への対応を課題としてはいるが、これからの施策
は資源エネルギー庁など政府の独自の判断ですることになる。

◎ いつの間にかタンク保管を選択肢からはずし、公聴会も開催せず、
風評被害対策も曖昧なままで、あまりに強引な小委員会の幕引きだ。
 福島第一原発の7号炉、8号炉建設予定地あるいは福島第二原子力
発電所に仮設タンクあるいは恒久貯蔵タンクを設けることができる
はずなのに、大熊町から土地提供の提案もあるのに、幕引きを認めた
有識者は由々しき者たちである。

◎ それにしても、海洋放出を後押しした更田委員長を許せない。
 2018年8月に発覚したように多くの汚染水(ALPS処理水)は、
トリチウム汚染水であるばかりか他核種が告示濃度を超えている
からだ。
 その内訳を知って驚いた。こんなのを絶対に海に流してはいけない。
【2019年12月31日の汚染水・処理水
     (東電HP「処理水ポータルサイト」)】
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/

     (満水のみカウント、全体貯蔵量とは差あり)

 汚染水・処理水合計約118万立方メートルのうちALPS処理水が
108万立方メートル。
 そのうち、30万立方メートル(28%)のみが(真の)トリチウム水(他核種
は告示濃度以下)。
 残り72%は告示濃度超放射性核種を含み、32%が1〜5倍超え、
40%は5倍以上超えなのだ。
 残存する核種はヨウ素129、ストロンチウム90、
ルテニウム106などで、これらを環境中へ放出することは
許されない。
 それゆえ、「小委員会」でも海洋放出する前に2次処理をするとは
言っていた。
 しかし、これら多核種告示濃度超え水を2次処理して濃度がどれ
ぐらい下がるのかはやってみないと分からない。経産省と東電とを
引き続き監視しないといけない。

◎ それにしても、本来トリチウムも他核種も総量で規制するべきで
あるのに、唯一の原子力規制行政の長が、トリチウムを海に流せという
のもひどいが、大半が他の核種も告示濃度を超えていることを知り
ながら、ALPS処理水を海に流せと言って海洋放出の後押しをした
ことは許されない。
 このことでも、原子力規制委員会が被曝を押しつける委員会で全く
信用できないことが良く分かる。
 なお、牧野寛さんの「原点から考える福島第一原子力発電所 放射能
汚染水海洋放出問題」(「岩波科学2月号」)から多くを教えられた。
 力作の一読をお勧めする。