原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その202 2019年6月22日
「厳しい食品基準」と嘘をついて「国民」に被曝を強要する原子力規制委員会
〜またまた「科学的」を持ち出して「政治的」に食品の被曝影響過小評価
 去る6月12日午後にヒバク反対キャンペーン・原子力資料情報室など
9団体が政府交渉「放射線のホント」撤回・「福島原発事故被ばくは
公衆の被ばく限度年1mSvの法令違反」を開催した。
 そこで「公衆被曝限度年1mSvの法令違反」(年20mSvに帰還)の追及
に対して、復興庁も内閣府も、その根拠は原子力規制庁に確認してほし
いと発言して回答を避けた。そして、原子力規制庁の担当者は、最終的
には「公衆の被ばく限度、年1mSvは法令で担保されている」と認めた。
 それにしても、この復興庁と内閣府の対応は、原子力規制委員会・
原子力規制庁が「科学・技術的」に被曝強要の役割を果たしていること
を再認識させてくれた。
 一方、去る6月5日の更田委員長記者会見では、規制委が「政治的」
被曝強要委員会であることを如実に示している。テレビ朝日吉野実記者
との次の会話をご覧頂きたい。
 https://www.nsr.go.jp/data/000272432.pdf 

○記者 テレビ朝日のヨシノです。よろしくお願いします。
 福島県漁連が先月末にとれた根魚の一種のクロソイというメバル属の
魚から101.7Bq/kgのセシウムを検出したということで、当面、クロソイ
の試験操業を自粛すると発表なさっています。これは国の基準は超えて
いないのですけれども、県漁連の自主設定した基準の50Bq/kgを超えてい
るため自粛するということなのですけれども、科学者としての委員長に
感想をお伺いしたいと思います。

○更田委員長…判断はあくまで漁連がされたものなので…、その判断に
ついて規制委員会として申し上げることはないですし、国の基準、これ
は繰り返し申し上げていますけれども、一旦、国際社会へ出ると、非科
学的なほどに厳し過ぎる基準だと、ほとんど批判、非難と言ってよいよ
うな声を多くの国から聞かされます。しかしながら、そうは言っても、
一旦決めたことで、そしてこれを変えにいくことが、風評被害等々の
リスクを考えると妥当ではないというものが背景にあって、国際的には
厳しく非難をされている、過剰に厳しい食品基準というものを、科学的
な観点以外の趣旨から維持をしているわけです。
 ですから、今回測定されたものにしても、健康への影響等という言い
方をしたら、全く影響のないものだと断言して差し支えないと思います
けれども、これもまた規制委員会の役割ではないので、規制委員会とし
て公式の見解なり、意見等を持つことはありませんけれども、本当に厳
しい食品基準に対して、さらにさらに、どうしても消費者の方々の反応
を恐れざるを得ない、非常に厳しい環境に生産者の方々がおられること
のあらわれだと思いますので、これは広い意味では放射線影響に対する
理解であるとか、それから、国際的な基準に対する説明ですかね、こう
いったものにそれぞれの機関が努めていくことが今後大事なのだろうと
は思います。…国の食品の基準の1キログラム当たり100ベクレルを
維持しているというのは、これは明確に科学的な判断ではないと。科学
的な理由を根拠にそれを維持し続けているものでは決してない。>

 私なら、こんな訳の分からない更田委員長答弁を聞き過ごすことは
しない。

○委員長が言う「国際社会」は原子力ロビーたちではないですか?
○委員長が言う「非科学的なほどに厳し過ぎる基準」とはどういう
ことですか、具体的に他国の基準と比較して説明してください
○「健康への影響等という言い方をしたら、全く影響のないものだと
断言して差し支えない」と言われましたが、内部被爆を考えればあるい
はしきい値無しLNTモデルを考えれば、本当に「断言して差し支え
ない」のですか?
○WTOが韓国の輸入規制を認めた(日本敗訴決定)ことをどう説明
できますか?
と。出。

 質問したテレビ朝日の吉野実記者は、本年3月30日の朝まで生テ
レビ「激論!原発と日本のエネルギー政策」で、次のように、誤情報
を流したと批判されている。
 放射線被ばくを学習する会「公共の電波を使い、テレビで誤情報を
流したテレビ朝日吉野実氏に断固抗議する!」
http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/2019/04/post-def8.html

 さて、厚労省の説明によれば、日本の「食品中の放射性物質に関する
基準」は次のとおり(=>は私のコメント)。

1.「食品からの線量の上限値を1mSv/年」としている
=>EUもコーデックスも食品からの追加線量の上限は同じ1mSv/年と
している。
2.一般食品に割り当てる線量を100Bq/kgと設定し、乳児用食品と牛乳
は放射線への感受性が高い可能性があるとされる子どもへの配慮で
50Bq/kg、飲料水はWHOが示している基準を踏まえ10Bq/kgとしている。
=>飲料水の基準値は、日本10Bq/kgに対して、EU8.7、米国4.2と、
同等あるいは日本がより甘い。
 また、一般食品の100Bq/kgについて、消費者庁が説明している。
<日本では放射性物質を含む食品の割合の仮定値を高く設定している(
日本50%、EU10%)こと、年齢・性別毎の食品摂取量を考慮している
こと、放射性セシウム以外の核種の影響も考慮して放射性セシウムを
代表として基準値を設定(コーデックス規格では核種ごとに指標値を
設定)していることから、基準値の数値が海外と比べて小さくなって
います>
 さらに、放射線被ばくを学習する会が示すように、日本の基準は「平
常時」のもので、EUと米国の一般食品の基準は「緊急時」のもので、
同列に比較するべきでない。

 それにしても、厚労省HPに明示されているように、上記基準は<
厚生労働省薬事・食品衛生審議会、食品安全委員会、放射線審議会での
議論を踏まえ、基準値を設定(平成24年4月1日〜)>されたのものだ。
 それを「明確に科学的な判断ではない」と言い切る更田原子力規制
委員長を誰が信用するだろう。

 (温品惇一様に教えていただきました。文責は筆者にあります。)