原子力規制委員会は再稼働推進委員会!
その196  2019年3月29日
六ヶ所再処理事業所を直ちに不合格にせよ!
〜諸般の事情で珍しく六ヶ所再処理施設の問題点を洗い出して、「合格」延期〜
 3月20日(水)の原子力規制委員会定例会議がなかなか面白い。
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/00000416.html
 議題4「日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更
許可申請に関する審査についての討議」で、昨年に審査が終わっていたは
ずなのに、各ページに「討議用資料(未定稿)」と斜めに大きく押印した
「審査書(案)」を資料に、いつものシャンシャン「合格」でなく、委員
長ほか委員や規制庁トップから異例の厳しい発言が続き、審査継続(差し
戻し)と決まった。

 原子力規制委員会が変身したのだろうか? いやそうではない。
 確かに更田委員長は、再処理施設は初めてのことであるとか、面的に広
く放射性物質が分布しているとか言い訳している。核燃料施設の「新規制
基準」の不合理も包含していよう。
 が、この会議に提出された「日本原燃株式会社再処理事業所における
再処理の事業の変更許可申請書に関する審査書」(案)の不出来さは、
日本原電の東海第二原発の適合性審査の審査書の不出来さと同様であろう
に、東海第二原発は強引に合格させ、六ヶ所再処理施設はすぐに合格させ
なかった。
 なぜなら、六ヶ所再処理工場が稼働すれば、プルトニウムが増えて米国
が歓迎しないし、東電福島第一原発からよりも高濃度のトリチウム汚染水
を流すことになるし、おまけに原発推進に経団連からも疑問符が出され、
田中俊一前委員長が核燃料サイクルについて異論を述べたなどなど、今は
早急に六ヶ所再処理施設の「合格」を与える時でないと原子力規制委員会
トップライトが判断したのだ。

 原子力規制委員会は、東海第二原発の適合性審査合格・運転延長認可と
地元住民説明会などと、全国の再稼働反対運動と全国の裁判で、「国民」
の信頼を失ってきている。続けて今、六ヶ所再処理施設合格を出して評価
を下げたくないと判断したのだ。

 とりあえず「合格」延期と判断したら、規制委トップ達は競争してまと
もに不合格の理由を述べ立てた。まるで私たちが院内ヒアリング集会で規
制庁担当に指摘してきたように。以下に異例の「討議」なる猿芝居の一部
を紹介する。

○更田委員長:ですので、航空機落下、航空機落下に伴う火災、臨界
事故、蒸発乾固、水素爆発、そして重大事故等に係る各種の設定、使用済
燃料の冷却期間、火災防護もそうだけれども、全般にわたって判断根拠に
関しての記載の充実は必要であろうと思います。
○伴委員:「震源を特定せず策定する地震動に関する検討チーム」が今
走っていて、その議論が収束に向かっていて、このタイミングでバック
フィットということになると、正直、二度手間になってしまう。
○山中委員:申請者が巨大噴火の発生を予見できると誤解を与えるような
記述が見られる。実際は、ガラス固化体の搬出などが実現可能な対処法と
も思えない。
○安井原子力規制庁長官:ある重大事故が起こって、それが二次的連鎖を
起こさないかとか、防止機能の更なる劣化を起こさないかというために
は、もっとしっかりとした評価がなされているはず。
 もう一つが意外と難しいけれども、この施設は基本的に高い放射性
物質を内包したものがあちこちにある。どこで何が起こっているかが分か
らなくて対処できるのだろうかという議論が少し、正直言うと抜けている
のではないか。
○桜田原子力規制技監:耐震問題が気になっている。現時点においては
Ssを決めているのは「出戸西方断層」でそこの断層の長さが11kmと
なっているけれども、この地域の断層とかについていろいろな公開の
文献なども出ているので、そこは精査してそれを踏まえてどう考えるか。
 八甲田火山は、40万年前に最後の巨大噴火があったと、10万年前以降は
平穏になっているのでその後を考慮して決めたと書いてあるけれども、
40万年から10万年までの間はどうしたのかというところは必ずしも見えて
いない。

 近隣施設の問題など、多くは私たちが東海第二原発の審査でも何度も
指摘したことである。原子力規制庁担当も、今迄の大アマ審査をやめて
厳しく審査して「不合格」とするべきだ。
 日本原燃も、昨年9月に審査を終えた筈なのに、これだけ多くの指摘を
されて対策が大変であろう、無理せず「不合格」を受け入れるべきだ。

 なお、NHKの報道「使用済み核燃料の再処理工場 審査合格の時期の
見通し不透明に」もご参考に。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190320/k10011854811000.html